今やもう何の迷いも躊躇もなく、電子書籍時代に突入しているアメリカだが、今夏もうひとつのビッグ・プレーヤーが加わる。グーグルである。
グーグルと電子書籍と言えば、数年前から争いが続いている「ブック検索」を思い出すことだろう。アメリカの出版協会や著者協会と、とりあえずの合意にいたっているブック検索は、著作権切れした書籍や著作権所有者のわからない迷子書籍に限って、無料で全文が読めるようになっている。日本の青空文庫と同様、数々の歴史的名作が並び、利用しているファンは多い。
今度の「グーグル・エディションズ」は、これとは違って通常の電子書籍ストアである。つまり、アマゾンやアップルのiBookstoreで売っているような、あるいは書店で並んでいるような、普通の新しい書籍を売るオンライン電子書籍ストアにグーグルが進出するということなのだ。
グーグルが打ち出した想定外の戦略
オンラインのクラウド上で本を読む
電子書籍ストアというと、すぐにストアのホームページがあって、そこで検索して、買いたい本を購入してダウンロード……、という一連の流れを想像することだろう。だが、グーグルは想定外の戦略に出た。オンラインのクラウド上で本を読むというものである。
開店するまで詳細ははっきりしないが、グーグルがこれまで明らかにしたところをもとにすると、仕組みはこうだ。
まず、ブック検索ページで買いたい本をサーチする。アクセスするのは、コンピュータでもよし、スマートフォンや携帯でもよし、そして他の電子書籍リーダーでもよし、である。現在のところ、キンドルとだけは合意ができていないらしいが、iPadからでもアクセスできるようなアプリを開発する模様である。キンドルでもウェブ経由ならば大丈夫だろう(ただしキンドルのウェブ・ブラウザーは動きが鈍い)。