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大相撲の腐敗とジャーナリズム

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第135回】 2010年6月23日
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既に当事者能力の無い日本相撲協会

 サッカー・ワールドカップと参議院選挙が話題となる中、二週続けて大相撲の話題で恐縮だが、どうしても指摘しておきたい問題がある。

 先ず、力士・親方・床山らの賭博問題の現状だが、問題は拡大を続けており、日本相撲協会の対応はのろいと言わざるを得ない。

 協会は、21日に臨時理事会を開き、7月11日に初日を迎える予定の名古屋場所の開催に関して判断を下すことを決定したと発表したが、11日に始まるものを一週間前に判断するのでは、チケットの販売も含めて、中止の際の影響が拡大する。幕内の有力力士の何人もが賭博と関わっていたことが明らかになったこの段階で、名古屋場所開催の可能性をまだ残そうとしている対応自体が疑問であり、協会を指導する立場にある文部科学省が中止を勧告すべきだ。

 昨年の名古屋場所で暴力団幹部が維持員席で観戦していたことが問題になったことからも窺われるように、大相撲のチケットには、各種のしがらみが伴っている。これを直接の利害関係者であり、且つ当事者能力の疑わしい相撲協会自身に判断させることは酷だし、不適切だ。

 賭博に関与した力士についても報道される名前が増えている。現段階で、大関・琴光喜、小結・琴奨菊、幕内の豊ノ島、雅山、豪栄道らの名前が既に挙がっている。琴光喜関が既に謹慎不出場を決めている以上、他の力士が名古屋場所に出場するわけにも行くまいが、日本人力士としては横綱大関を喰う番狂わせの可能性を秘めた有力力士の名前がずらりと並んでいて、彼らを欠いて場所を開催しても興味が薄れる。もちろん、相撲協会全体が反省を示さねばならない状況なのだから、場所の開催を自粛するのは当然のことだ。

 筆者は処分を決定する立場にないが、大関・琴光喜に関しては、暴力団と関連した野球賭博の常習者であったことに加えて、本来なら警察に届けるべきところで口止め料を暴力団関係者に払ってしまった点で、現役の続行は難しかろう。もちろん、個々の力士の関与の実態によって判断しなければならないが、場所を中止して、協会全体で反省する姿勢を見せるなら、有力力士の何人かについては、現役を継続できる方向で救済できるのではないだろうか。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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