全世界を「メードインチャイナ」が席巻していることは、もはや指摘するまでもない。ワールドカップでおなじみの、あの「ブブゼラ」も9割が中国製だ。
産地は広東省と浙江省が二分。浙江省義烏市(義烏市は金華地区に含まれる)といえば、プラスチック品や金属品など、軽工業品のメッカ。義烏市のイエローページには7800社がその名を連ねる。全世界からバイヤーが集まり、生活雑貨から玩具、文具、工具、工芸品などを、「安い、安い」と買い付けて行く。日本も主要取引先のひとつだ。
その義烏市では人民元の切り上げを見越した駆け込み需要で、現地では生産が間に合わないという状況が続いていた。今年4月、義烏市の輸出額は7.33億ドル、なんと前年同期比34%も増加した。また、義烏市をカバーする金華地区の税関統計によれば、1~4月の貿易輸出入額が34億6152万ドル(前年同期比40.6%増)、うち輸出額は32億0322万ドル(前年同期比40.5%)に達したという。
「ブブゼラ」の出荷も底上げに貢献した。工場によっては第1四半期だけで100万個以上を出荷したところもある。
問題は今後だ。金華地区で生産される軽工業品は、まさに低収益の労働集型産業かつ輸出依存型産業の典型だ。
さて、上海の代表的な観光スポット「豫園」の周辺にもこうした「小商品」と呼ばれる日用雑貨、小物を扱う卸売市場がある。雑居ビルに小さなスペースを間借りする形で商売を行っているのだが、彼らの商売には以前に比べ陰りが見えた。
店舗数は以前に比べ減少、一歩奥に脚を踏み込めば“シャッター街”になっていた(写真)。「3年営業して50万元の損」というところもあった。こうした「小商品」は、人民元が2%切り上がっただけでも利益が吹っ飛ぶ。人民元切り上げによる輸出貿易の先細り、そして、不動産価格の高騰によるテナント料の高さが彼らを直撃していた。