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中国製ブブゼラがスタジアムから消える?
メイドインチャイナを襲う
人民元高、労働争議、技術停滞の三重苦

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第54回】 2010年7月2日
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 全世界を「メードインチャイナ」が席巻していることは、もはや指摘するまでもない。ワールドカップでおなじみの、あの「ブブゼラ」も9割が中国製だ。

 産地は広東省と浙江省が二分。浙江省義烏市(義烏市は金華地区に含まれる)といえば、プラスチック品や金属品など、軽工業品のメッカ。義烏市のイエローページには7800社がその名を連ねる。全世界からバイヤーが集まり、生活雑貨から玩具、文具、工具、工芸品などを、「安い、安い」と買い付けて行く。日本も主要取引先のひとつだ。

 その義烏市では人民元の切り上げを見越した駆け込み需要で、現地では生産が間に合わないという状況が続いていた。今年4月、義烏市の輸出額は7.33億ドル、なんと前年同期比34%も増加した。また、義烏市をカバーする金華地区の税関統計によれば、1~4月の貿易輸出入額が34億6152万ドル(前年同期比40.6%増)、うち輸出額は32億0322万ドル(前年同期比40.5%)に達したという。

 「ブブゼラ」の出荷も底上げに貢献した。工場によっては第1四半期だけで100万個以上を出荷したところもある。

 問題は今後だ。金華地区で生産される軽工業品は、まさに低収益の労働集型産業かつ輸出依存型産業の典型だ。

 さて、上海の代表的な観光スポット「豫園」の周辺にもこうした「小商品」と呼ばれる日用雑貨、小物を扱う卸売市場がある。雑居ビルに小さなスペースを間借りする形で商売を行っているのだが、彼らの商売には以前に比べ陰りが見えた。

上海にも”シャッター街”が。商売に陰りが見える卸売市場

 店舗数は以前に比べ減少、一歩奥に脚を踏み込めば“シャッター街”になっていた(写真)。「3年営業して50万元の損」というところもあった。こうした「小商品」は、人民元が2%切り上がっただけでも利益が吹っ飛ぶ。人民元切り上げによる輸出貿易の先細り、そして、不動産価格の高騰によるテナント料の高さが彼らを直撃していた。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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