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シャープ支援はなぜここまで迷走してしまったのか

週刊ダイヤモンド編集部
2016年2月15日
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経営再建中のシャープで、スポンサー選びが大詰めを迎えている。交渉の裏側を探る中で見えてきたのは、国や銀行団など利害関係者の間で繰り広げられているお粗末な綱引きだった。(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

Photo:JIJI

 「本当に許せないね。特に『青』。適当なことばっかり言ってさ」

 常に穏やかな口調で話す経済産業省の幹部が、珍しく激しい口調でまくしたてた。

 怒りの矛先となったのは「青」をコーポレートカラーとするみずほ銀行。中央省庁との関係性を特に重視しているはずの銀行が、なぜここまでの不興を買ったのか。

 その原因を解き明かす中で見えてきたのは、シャープ再建をめぐって利害関係者の間で繰り広げられている、極めて身勝手な綱引きの実態だった。

 事の発端は、1月下旬。台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘董事長が、東京・大手町のみずほ銀行本店を訪れたときのことだ。

 郭董事長はこのとき、シャープ買収について居並ぶ銀行首脳を前に、それまで5000億円としていた出資額を、一気に7000億円にまで引き上げ、銀行団の持つシャープの優先株計2000億円を簿価で買い取ることを表明している。

 みずほには、まさに「渡りに船」の案に映ったに違いない。

 シャープ再建策では、鴻海と一騎打ちを演じる官民ファンド、産業革新機構が、優先株2000億円の消却という、銀行による実質的な債権放棄を提案の中で迫っていたからだ。

 当初から債権放棄に強いアレルギー反応を示していたみずほにとって、鴻海案なら優先株の扱いで大きな損失が出ない。さらに、鴻海の7000億円に対して、革新機構の出資額は最大で3000億円。出資額にこれだけの開きがあれば、周囲も「鴻海を選ぶのも無理はない」と、認めてくれるはず──みずほはそう読んだ。

 この会談以後、みずほの幹部からは、「出資額で大きく見劣りする革新機構の案を選べば、銀行が株主代表訴訟を起こされるリスクがある」「シャープ経営陣も、善管注意義務違反(通常期待される経営上の注意を怠ること)を法的に問われかねない」などという声が、多く聞こえるようになる。

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