二元代表制をとる日本の地方自治において、議会の役割は大きい。議会は自治体の最終意思決定の場であり、執行機関をチェックする機能を持つ、いわば地方自治の根幹をなす存在である。だが、その重要性に相応しい働きをしている地方議会は残念ながら、皆無に近い。税金のムダ使いや行政の暴走を防ぐどころか、議会そのものが民意から遊離し、ムダ使いの温床となっているケースが多い。議員はお手盛りで決めた高額報酬とさまざまな特典を平然と享受し、税金を貪り食う存在になり下がっている。
本来の役割を果たさずにいる議会や議員に対し、住民は不信感や怒り、苛立ちを募らせている。なかには二元代表制に問題があるとし、議会不要論を主張する人さえいる。財政逼迫などにより様々な痛みを強いられる住民を尻目に、自らの厚遇に一切メスを入れようとしない議員への怒りもある(もっとも、そうした議員たちも勝手に議員の座についたのではなく、住民に選ばれた人達である)。
こうした地方議会の実態を憂い、議会改革を叫ぶ声が全国各地で沸き上がっている。きわめて当然の動きと言える。しかし、議会改革の議論がこのところ、本質からずれたものになりつつある。議論が議員の定数と報酬の削減に偏り過ぎており、問題が矮小化されている感がある。議会改革と定数報酬削減はイコールではない。逆にいうと、定数と報酬を削減するだけでは、議会改革とは言えない。そもそも議会や議員が担う役割とは何なのか。その役割を果たす上でネックとなっている点は何なのか。これらを踏まえた上で、改善すべき点を正していくのが、本来の改革である。
定数と報酬は改革の部分でしかなく、削減数値まずありきは少々乱暴だ。
にもかかわらず、議員定数と報酬の削減にばかり注目が集まるようになった。発信力のある首長たちの行動によるところが大きい。議員の定数と報酬の半減を掲げ、議会と対立している名古屋市の河村たかし市長である。