ソニーを創業した盛田昭夫氏ソニーを創業した盛田昭夫氏 Photo:Frederic REGLAIN/gettyimages

ソニー創業の盛田昭夫と
「トヨタ中興の祖」の豊田英二

「あさひがおか」高校と呼ぶ。名古屋城の東3kmの名古屋市東区の住宅街にある。県庁所在地の都市にある「一中伝統校」の一つだ。私立東海高校と双璧を成す、愛知県立の名門高校だ。

 大企業のトップ経営者など経済界で活躍した卒業生が多いのが、旭丘高校の特徴の一つだ。

 広く人口に膾炙しているのは、盛田昭夫の名前だろう。井深大(旧制兵庫県立第一神戸中学・現神戸高校卒)と二人三脚でソニーを創業した。類いまれなベンチャー精神の持ち主で、起業家として戦後の日本経済を引っ張った。

 盛田と井深は、1946年にソニーの前身である東京通信工業を設立、電気機器メーカーとして独自技術の開発にチャレンジし続けた。トランジスタラジオ、トリニトロンテレビ、ウォークマンなど世界初の製品を次々と世に送り出し、電子立国日本の立役者となった。高度成長にも乗って、ソニーは世界的な大企業となった。

「ソニー神話の崩壊」に何度も直面したが、ソニーグループは電気製品にこだわらず、ゲーム・音楽・映画などのコンテンツ産業もモノにして、業容を拡大した。

 盛田は、代々続いた造り酒屋の生まれだった。旧制愛知県第一中学(現県立旭丘高校)―旧制第八高校(名古屋)―大阪帝大理学部物理学科卒。戦後派企業でありながら、86年には経団連副会長になり、次期会長の有力候補と言われたが99年10月に死去した。78歳だった。

 盛田の義弟、岩間和夫も旧制卒で、盛田の後にソニー社長に就いている。

 トヨタ自動車グループの経営トップも、たくさん出ている。本体のトヨタ自動車工業(82年に工販合併でトヨタ自動車)の社長・会長を25年弱務め、「トヨタ中興の祖」と言われた豊田英二も旧制卒だ。2013年9月に100歳で死去した。

 豊田自動車創業家一族の豊田芳年(豊田自動織機)、豊田大吉郎(豊田通商)、豊田信吉郎(豊田紡織)らのトップ経験者もいる。

 内山田竹志は名古屋大卒のエンジニアで、トヨタ自動車会長を23年4月まで務めた。