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ニッポンビジネス・ななめ読み

大ピンチ? 日本の電気自動車の意外な弱点

相場英雄
2010年7月5日
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 エンジンとモーターの組み合わせで走るハイブリッド車(HV)が日本を代表する次世代技術であることは周知の通り。HVと同様、電気自動車(EV)も日本メーカーが世界市場で先駆けとなり、先頭を走っているのはご存じだろう。

 しかし、HVと並んでエコカーの代表格とされるEVを巡り、専門家の間で懸念が渦巻いている。その懸念とはずばり、航続距離の短さなのだ。一般に伝えられることのない、日本の最新技術を巡る動向を探ってみた。

アナリストが絶句した航続距離データ

 「以前から噂は聞いていたが、実際のデータに触れて言葉を失った・・・」(国内証券アナリスト)

 6月中旬、EVの開発に熱心に取り組んでいる日産自動車が、あるデータを公表した。そのデータが波紋を広げている。

 同社は今年12月、EVの戦略車「リーフ」を国内市場に投入する予定だ。ただ、6月中旬に実施した専門家やアナリストを集めた試乗会では、事前に予想されていた航続距離を大幅に下回るデータが提示され、これが波紋を広げているというわけだ。

 具体的には、「従来、メーカーからは米国基準で1回のフル充電で約160キロの走行が可能との見通しが示されていた。だが、新たに示されたデータは、実生活では使い勝手が極めて悪いと言わざるを得ない数値だった」(外資系証券アナリスト)。

 日産が関係者に示したデータは、以下のような内容だ。

 <北海道の草原地帯を時速60キロメートルで、エアコンをオフで巡航する場合 → 220キロ航続可能>

 <エアコンがフル稼働する夏季、都心の渋滞の激しい道路(平均時速10キロ)を走行する場合 → 75キロに落ち込む>

 <速度上昇とともに空気抵抗のロスが増えるため、航続距離が短くなる。欧州走行モードで高速道などを平均時速81キロで走行すると、航続が76キロまで短くなる>・・・といった具合だ。

 日常の移動手段として期待されるEVの使用環境が、「北海道の草原」と「渋滞・高速道」のどちらに比重が置かれるべきかは言うまでもないだろう。

 新たに開示された予想数値に接したアナリストからは、「真夏の都内や主要高速道の大渋滞中に電池切れ車が続出して、さらなる渋滞を誘引する可能性は否定できない」(国内証券アナリスト)、「高速道では30分に1回程度の充電が必要になる公算が大」(外資系証券ナリスト)などと厳しい見方が出ていたのは言うまでもない。

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相場 英雄 Hideo Aiba

作家・経済ジャーナリスト。1967年新潟県生まれ。元時事通信社記者。2005年に『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞。2006年、時事通信社を退社、創作活動に。近著に『ファンクション7』(講談社)、『偽装通貨』(東京書籍)、『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 奥会津三泣き 因習の殺意』(小学館)、『佐渡・酒田殺人航路』(双葉文庫)、『完黙 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 奥津軽編』(小学館)、『みちのく麺食い記者 宮沢賢一郎 ~誤認』(双葉文庫)、『みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎 追尾』(小学館文庫)、『金融報復 リスクヘッジ』(徳間書店)など。


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日本のビジネスを深部で突き動かす見えない潮流。ありきたりの経済ニュースからは、その流れは見えてこない。作家兼業ジャーナリストの筆者がニッポンビジ ネスの構造を一刀両断。斜に構えた視線だからこそ見えてくる真実がある。

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