
次世代EVが普及すると、淘汰されるのは内燃機関の部品だけではない。クルマ造りの変化や異業種からの参入などにより自動車サプライチェーンの構造が大きく変わる中、今後再編が進む業種をコンサルティング会社EYのコンサルタントが大胆予想。特集『車載ソフト大戦争』の#4では、中堅サプライヤーが生き残るための策を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
ボッシュやデンソーにはなれない
中堅部品メーカーの生き残り策とは
ソフトウエアがクルマの価値を決めるソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)の到来に備え、対応しているのは大手自動車メーカーだけではない。メーカーを支えるサプライヤーもまた、生き残りに向けた戦略の立て直しが急務となっている。
すでにサプライヤーとして存在感を高めているのが、独ボッシュだ。
インターネットを経由して車体のソフトを継続的に更新する「OTA(オーバー・ジ・エア)」技術の普及に伴い、ボッシュはクルマの頭脳に当たる統合ECU(電子制御ユニット)を自動車メーカーに代わって開発・供給するようになった。自動車部品の単品販売から車両開発に深く関わる“準OEM(自動車メーカー)型”に変貌しつつあるのだ(詳細は特集『自動車・サプライヤー SOS』の#11『フォルクスワーゲン撃沈でもボッシュ・コンチは躍進!独メガサプライヤーが自動車メーカーを陰で操れる理由、日本のケイレツとは大違い』を参照)。
日本では、デンソーがそれと同じ道を歩んでいる。デンソーはトヨタグループの一角として車載半導体や、トヨタ自動車が開発を進めている車載OS(基本ソフト)の開発に関与するなど、ボッシュのように準OEM型のサプライヤーとして存在感を高めている。
ただし、全てのサプライヤーがボッシュやデンソーのようにSDVの開発に関与できるわけではない。大手自動車メーカー並みの研究開発費を投じるだけの投資余力も技術もないからだ。
メガサプライヤーになれない中堅サプライヤーはSDVの波にどう立ち向かっていけばいいのか。次ページでは、サプライヤー再編の見通しと中堅サプライヤーの生き残り策について解明する。