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金融のプロフェッショナルIFA(インディペンデント・フィナンシャル・アドバイザー)に聞くお金の教室
【第1回】 2016年2月26日
著者・コラム紹介バックナンバー
福田猛 [ファイナンシャルスタンダード株式会社代表取締役社長]

投資信託選びで
知っておきたい3つのこと

金融のプロフェッショナルであるIFA(インディペンデント・ファイナンシャル・アドバイザー/独立系アドバイザー)に聞く、お金の新常識。連載第1回目の今日は、IFAとして活躍する福田猛さん(ファイナンシャルスタンダード代表取締役社長)に、投資信託選びのポイントを聞きました。

よくある質問に答えます!

 「相場下落時に損をした」
 「どのような基準で投資信託を選べばよいかわからない」
 「いつ利益確定(損切)をしたらいいかわからない」

 私が代表を務めるファイナンシャルスタンダードには、投資信託に関する質問が多く寄せられます。
 今日は自分に合った投資信託を選ぶために知っておきたい3つのことをお伝えしたいと思います。

リターンより
注目すべきは「リスク」

福田猛(ふくだ・たけし)■同志社大学卒業後、大手証券会社に入社。1000人以上に資産運用コンサルティングを経験。その後、2012年にIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。金融業界に風穴を開ける鋭い視点で金融商品を分析し、お客様にとって本当に良い商品を提案している。■2015年度、楽天証券IFAサミットにて独立系ファイナンシャルアドバイザー総合1位を受賞。■2月新刊『証券営業プロフェッショナル 会社のためのセールスから、お客様のためのサービスへ』(ダイヤモンド社)に大きく取り上げられるなどIFAのトップランナーの一人。著書に『金融機関では教えてくれない 本当に買うべき投資信託』(幻冬舎)ファイナンシャルスタンダード https://fstandard.co.jp

 みなさんは、自分が保有している投資信託のリターンについてはよくご存知かと思います。
 しかし、リスクについてはどうでしょう? 現在保有している投資信託の「リスクはどれだけですか?」という質問に答えられる方は少ないのではないでしょうか。

 投資信託を選ぶときも、どうしても過去のリターンばかりに注目してしまいがちですが、本来はリターンよりもリスクに焦点を当てるべきです。

 ここで言うリスクとは、投資信託の「値動きの振れ幅」のことです。
ある期間の値動きが、その期間の平均値からどれだけかい離しているかを%で表したものが「リスク」です。
 この数字が大きいほど振れ幅が大きい(=ハイリスク・ハイリターン)ということです。

 モーニングスターや証券会社のホームページなどで投資信託の商品概要を見ると、「リターン」などと共に「リスク」も記載されています。

 たとえば、リスクが10%の場合、「68.27%の確率で、平均値を基準に上にも下にも10%までの価額変動でおさまり、95.45%の確率で、上にも下にも20%までの価額変動でおさまる」という意味です。

 少しややこしくなってしまいましたが、要は、「リスク」という欄を見ることで、どれくらい下落する(上昇する)かもしれないのか、ある程度見当がつけられますし、複数の投資信託で比べてみることで、「この投信はリスクが高め(低め)なんだな」などの感覚がつかめます。

 ここで、純資産総額が多く、セミナーなどでお客様から質問されることの多い投資信託の、「1年の年率リスク(2016年2月19日現在)」を見てみましょう。

 ◎主な投資信託の「1年の年率リスク」
 ・日経平均インデックス 22.04%
 ・ゼウス(新光USリートオープン) 20.14%
 ・ラサール・グローバルREITファンド 19.08%
 ・ダイワブラジルレアル債オープン 21.50%

 いかがでしょうか。「日経平均インデックス」はローリスク・ローリターンの(値動きの振れ幅が小さい)イメージがあるかもしれませんが、そうとも言えない……感じもしますね。もちろん、リスク許容度は人それぞれですから一概には言えませんが、私の感覚だとミドルリスク以上の商品ではないかと思います。

 どうしてリスクの話をしているかというと、弊社にご相談にいらっしゃるお客様のなかには、「安定的な運用をしたい」とおっしゃっているのに、保有している投資信託を見せていただくと、値動きの振れ幅の大きいもの(ハイリスク・ハイリターン)だったりするケースが少なくないのです。
 そこで、リスクとリターンのお話をして、「大きなリターンを狙うなら大きなリスクを取る必要がありますが、本当に大きなリターンを期待しているのですか?」と聞くと、「とんでもない」とおっしゃる。

 リターンだけを見て選ぶと、自分が取っているリスクの大きさに気づけないことがあります。また、名前の印象で選ぶと、思いのほかハイリスクでびっくりということもあります。
やはりリスクは数字でしっかり確認したいものです。

 ただし、ハイリスク商品が一概にダメ、というわけではありません。
 たとえば相場が大幅に下落している局面で、「これは下がりすぎだから絶好の買い場だ」と考えるなら、選択すべきはリスク(値動きの振れ幅)のある商品でしょう。

 すべての人にとって「いい商品」というものはありません。
 ご自身の資産バランスや意向、相場観などによって選択肢を変えていく必要があるのです。

人気があるから良い商品
…とは限りません!

 買い物に行くとよく、「売れてます!」「当店の人気ナンバーワン!」といったポップの付いた商品を見かけます。「みんなが買っているならいいものなんだろう」と思って自分も買ってしまいそうになりますが、投資信託に関して言えば、みんなが買っているものがよいとは限りません。

 気をつけてほしいのは、みんなが買っているということは、すでに高値になっている可能性があるということです。

 株式相場には「うわさで買って事実で売る」という格言があります。
 また新聞などでも「織り込み済」という言葉を目にしたことがあるかと思います。

 たとえば2015年12月に米国が利上げをしました。
 その少し前から金融関係のセールスの方は、
 「米国が利上げをするからドル高になる。ドルは今が買いです」
 という主旨のセールストークをしていました。

 しかし実際には2015年6月に125円を突破していたドル/円相場は、利上げが決定した12月には122円台になり、その後は円高傾向となり、2016年2月には一時110円台にまで下落しました。

 理論的には、利上げをすると、その国の通貨は上昇するはずです(現在のブラジルのように高インフレ懸念が強い場合を除く)。しかし、実際は、2015年12月の利上げ後に米ドルは大幅に下落したのです。

2014年夏以降、利上げを事前に織り込み、米ドルは各国通貨に対して上昇。
拡大画像表示

 それは「すでに米国の利上げを織り込んでいたから」です。
 実際にドルインデックス(ドルの価値を総合的に表す指標)は2014年夏から上昇し続けていました。
 これは利上げを見越して投資家が先回りの買いを入れていた結果と言えます。

 先回りに成功した投資家は、米国が利上げを発表したときには売り抜けて利益を確定します。
 これが、「うわさで買って事実で売る」です。

 投資信託の場合も、たとえば「オリンピックがある」「成長性がある」という話題性から、中国やブラジル関連の投資信託がもてはやされたことがありました。
 一部の人が投資をはじめ、だんだん話題になり、人気が出て、「売れてます!」状態になると最初に投資をした人たちは売り抜けますから上昇が限定的になり、後から投資をした人たちは利益を得られにくくなります。

 特にテーマ性の強い投資信託は人気が出てから投資をすると高値掴みになってしまうことがあるので注意が必要です。
 近年ではMLPエネルギー関連ファンド、ハイ・イールド債券ファンド、米国リートファンドに多額の資金が流入していました。

フル投資型より、絶対収益型。
ほったらかしはほどほどに

本記事の福田猛さんも登場。新刊書籍『証券営業プロフェッショナル 会社のためのセールスから、お客様のためのサービスへ』(ダイヤモンド社) お金のこと、資産作りのことを相談したいときに頼れる心強いパートナー・IFAのすべてがわかる!

 年を追うごとに、日本だけでなく世界的にも、株式や為替市場の値動きは大きく激しくなっています。
 このようなときに、私たちはどう対処すればよいのでしょうか。

まず、「フル投資型」の投資信託は不向きであると言えます。
 フル投資型の投資信託とは、文字通り、資金のすべてを投資している投資信託のことです。

 たとえば、日本株で運用を行うフル投資型の投資信託であれば、常に資金の100%近くを日本株で保有し続けるということです。
 その場合、日本株市場が下落すると、この投資信託も同じように下落する可能性が高いと言えます。つまり、フル投資型の投資信託は、マーケット次第の運用になってしまいます。

 ではどうすればいいのでしょうか。そのポイントは以下になると考えます。

 ・どのような市場環境にも対応できる「絶対収益型」投資信託の必要性
 ・「ポートフォリオ」「見直し
」の重要性

「絶対収益型」の投資信託とは

 市場の動きに左右されてしまうフル投資型の投資信託に対して、市場の動きとは関係なく資産を増やすことを目指す投資信託を、「絶対収益型」投資信託と言います。

 たとえば、日本株を投資対象とする絶対収益型の投資信託であれば、ファンドマネージャーが、市場が下落すると判断した時には、運用の中身を現金化したり、ショートポジション(空売り)を活用したりして、下落を防ぐ(または下落相場で利益を上げる)ことを狙います。

 一方、ポートフォリオを重視するとは、自分の資産のなかで投資先を分散するということです。一つの国や市場、テーマに集中して投資をすると、その国や市場、テーマが下落した場合、大きな損失を被ってしまいます。

 さらに、定期的に「見直し」をする必要もあります。
具体的には、各投資先への資金の割り振りを再考して調整するということです。
 というのも、それまで通用していた運用戦略が、最適でなくなることもあるからです。

 たとえば、アベノミクス以前には、これほどまでに日本株の値動きが激しくなるとは誰も思わなかったのではないでしょうか。
 しかし現在、ここまで値動きが激しくなったなら、ポートフォリオのなかの日本株の比重を以前より引き下げるといった見直しが考えられます。

 投資信託は、ひんぱんに乗り換え(買い替え)をするとコストがかかり、運用成果が出にくくなりますが、だからといって、ほったらかしも運用効率を下げる一因となるのです。

 今日は、投資信託を選ぶ上で核となる点について解説しました。
 当社主催のセミナーでこのようなお話をすると、みなさん大変熱心に聞いていただき、質問なども多くいただきます。
 自分に合った投資信託選び――。投資を始めたい人、保有している投資信託に迷いがある人のお手伝いをこれからも続けていきたいと思っています。

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福田猛[ファイナンシャルスタンダード株式会社代表取締役社長]

■同志社大学卒業後、大手証券会社に入社。1000人以上に資産運用コンサルティングを経験。 その後、2012年にIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。 金融業界に風穴を開ける鋭い視点で金融商品を分析し、お客様にとって本当に良い商品を提案している。 ■2015年度、楽天証券IFAサミットにて独立系ファイナンシャルアドバイザー総合1位を受賞。 ■2月新刊『証券営業プロフェッショナル 会社のためのセールスから、お客様のためのサービスへ』(ダイヤモンド社)に大きく取り上げられるなどIFAのトップランナーの一人。著書に『金融機関では教えてくれない 本当に買うべき投資信託』(幻冬舎) ファイナンシャルスタンダード https://fstandard.co.jp

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