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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

民主・維新新党は「増税断行・若者にツケを回さない」を訴えるべきだ

上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]
【第126回】 2016年3月1日
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 岡田克也民主党代表と松野頼久維新の党代表は、東京都内のホテルで非公式に会談し、3月中に両党が合流して新党を結成することで正式に合意した。衆参両院で約150名の野党第一党が誕生する。岡田氏は「安倍政権に疑問や不安を持っている人の受け皿になる」「理念や政策の一致を前提に野党の結集を図りたい」と表明し、安倍晋三政権の「一強」状態を打破し、政権交代を目指す考えを示した。

 民主・維新の合流には、基本政策が一致しない「野合」との厳しい批判もある。新党が、安倍政権に対する国民の「まだマシ」という支持を乗り越えるのは難しい。本稿は、新党が「野合批判」を乗り越えて、従来と違うイメージを打ち出すには、どの政党も言っていない「言いにくいこと」を明確に言うべきだと考える。端的には、若者に対して「増大する社会保障費をカバーするために増税を行う。財政赤字をこれ以上増やさない。将来世代に負担を先送りしない」という強いメッセージを出すことである。

「壊し屋・江田憲司」は最初から
「民主党との合流」しか考えていなかった

 民主・維新の合流は、このままでは国政選挙「4連敗」が必至だったためである。現在の選挙制度は、衆議院が「小選挙区比例代表並立制」であり、参議院は小選挙区制と全国統一の比例代表制だが、勝敗を左右するのは「小選挙区制」である。小選挙区制では1つの選挙区で1人しか当選できず、野党の候補者が乱立することは、それだけで与党に対して致命的な不利となってしまう(第1回)。従って、7月に予定される参院選だけでなく、「衆参ダブル選挙」の観測もある状況で、野党の合流への動きが加速したのは、自然な流れである。

 過去にも、96年の民主党結党、98年の太陽党など中小政党の民主党への合流、03年の民主党と自由党の合併(民由合併)などがあった。これらは、小選挙区制下で中小政党の政治家が生き残りをかけて動いた結果である(前連載第31回)。今回も、野党が分裂したままでは次の選挙も惨敗すると考えた政治家が仕掛けた動きだ。

 今回の民主・維新の合流は、「みんなの党の分裂」以降の一連の野党分裂・再編の動きの延長線上に位置づけられるべきである。この連載は、「壊し屋」江田憲司氏を中心とするグループに注目してきた。、江田氏は、最初から「民主党と合流する以外に生き残る道はない」と考えていたと思われる。そして、さまざまな画策をして、民主党との合流を良しとする政治家に近づき、良しとしない政治家を外しながら、次第に民主党に近づいていった。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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