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日本経済の閉塞は人口減少放置のツケ

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第418回】 2016年3月8日
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足踏みから抜け出せない日本経済
回ってきた人口減少問題放置のツケ

2月26日発表の2015年国勢調査速報で、ついに初の人口減が記録された

  わが国経済の閉塞感がなかなか払拭できない。アベノミクスの円安・株高で一時的に盛り上がった景況感は、昨年11月中旬以降、再び悪化している。

 家計部門の実質ベースの所得が減少している一方、食糧品などの価格が上昇し、人々の生活実感は厳しさを増している。個人消費の大幅な伸びを期待できる状況ではない。

 海外に目を転じると、中国経済の一段の減速懸念や米国経済の先行き不透明感、さらには欧州地域の景気低迷や一部金融機関の信用不安など、リスク要因はそれこそ枚挙に暇がない。短期的には、輸出の拡大も大きな期待は持てそうにない。そうした状況を考えると、景気が足踏み状態から抜け出せないのは仕方がないだろう。

 ただ、わが国経済の閉塞感の大元に、二つの大きな要因があることを忘れるべきではない。一つは、人口構成の問題だ。既にわが国の人口は減少局面を迎えており、しかも少子高齢化の進展で、経済の様々な面で下押し圧力が働き始めている。

 理屈から言っても、人口が減り、シニア層が増えると消費は伸びにくい。また、供給サイドを考えても、モノを作ったり、サービスを提供したりする労働力に制約がかかりやすい。また、シニア層の増大は社会保障費などの負担を増すことになる。

 かなり以前から、わが国の人口問題の重要性は議論されてきたにもかかわらず、国としてほとんど有効な手立てを打つことができなかった。そのツケをこれから払わざるを得ない。

 もう一つ重要なポイントは、実情に合わない仕組みや制度を刷新するのを怠ってきたことだ。それは公共セクターに限らず、民間企業でも同じだ。社会全体で、昨日とは違う新しいものを生み出す努力が足りなかったと言える。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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