マイナス金利を生かした国の「財テク」方法とは

マイナス金利環境を生かして
政府ができることを考える

 ものすごい時代になったものだ。3月8日の国債市場で、10年国債の利回りが一時、マイナス0.1%まで低下した。

 同月7日のイールドカーブは以下の通りである。日銀のマイナス金利発表の前日1月28日のイールドカーブと比較すると、全ての期間で0.2~0.3%低下していることがわかる。

◆金利イールドカーブ

(資料)財務省金利情報

前回のコラムで「マイナス金利は国民も政府もメリットのほうが大きい」と書いたが、政府の例として挙げたのは、財投債である。

 伊勢志摩サミットにおいて世界経済のために財政政策と金融政策の同時発動の流れになっており、日本政府としても財政出動するだろう。その際、消費増税がスキップされるのは当然として、本コラムで指摘してきた外為特会などの埋蔵金とともに、財投債も、財政出動の原資とされるだろう。

 今回は、こうしたマクロ政策の大技ではなく、目先の金利環境で国(政府)が他に何ができるかを考えたい。

 今のようなマイナス金利は、数多くの論者が指摘してきた、いわゆる国債暴落とはまったく真逆の世界である。筆者は、国のバランスシート分析から、国債暴落はないと論じてきた。国債暴落は、いわば経済ホラー小説の世界であり、現実には起こらないが怖いもの見たさの一定の人には受ける分野である。

 しかも、「国債が暴落する」という文句は、「だからこの金融商品を買え」と悪徳商法勧誘にも使われるものでもある。金融商品を物色している一般の人は、金融環境が変化しているときには、国債暴落を言う詐欺師の格好の餌食になりやすいので、要注意である。