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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

スウェーデン王室結婚式が教えてくれた
陶磁器の都・景徳鎮市の没落と唐山市の存在感

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第11回】 2010年7月22日
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 私事で文章を始める失礼をお詫びする。

 4年前、現在の新居に引っ越した。その2年前から新居の雰囲気に合いそうな食器を探し始めた。以前、邱永漢さんが自宅で使う中華料理用の食器を探した結果、結局マイセンやフローラなどの洋食器を選択せざるを得なかったという話を聞いていた。超一流の中華レストランに行っても、食器で感動を得た覚えはないとも言われた。しかし、私は時間をかけて探せばきっとどこかで気に入った食器を入手できるだろうと楽観していた。

 ところが、妻と娘を連れて景徳鎮を訪れても気に入ったものは1セットもなかった。ある程度の出費を覚悟していたが、そもそも高級食器セットという商品すら存在しなかった。どこもかしこも巨大な花瓶などを作っている。その時、景徳鎮の没落を実感した。陶磁品の都という誉れ高い称号を頂く資格は景徳鎮にはもうない。

 その後も食器を探し続け、6年の歳月が流れ去ってしまった。わが家にはいまだに気にいった中華料理用の食器セットは揃っていない。

 そこで、あるニュースが私の目を引いた。

 スウェーデンのカール16世グスタフ国王の第1子で王位継承権を持つヴィクトリア王女が6月19日、ストックホルム市の大聖堂で結婚式を挙げた。4日間にわたるロイヤルウエディングは国を挙げてのイベントとして盛り上がったという。ちなみに、新郎はスポーツジムを経営する民間人のダニエル・ベストリング氏だ。王女を担当するインストラクターになったのが、二人のなれそめだったという。

 メディア報道によれば、挙式後、結婚を祝う晩餐会が同国のカール16世グスタフ国王とシルビア王妃の主催により王宮で開かれ、英国、ベルギー、スペイン、ヨルダン、モナコ、日本など世界各国の王室関係者たちを含む、約1200人が参列したそうだ。

 このロイヤルウエディングのニュースに興味を覚えたわけではないが、晩餐会の参加者に出した引き出物が中国製の陶磁器だったということが私の目を引いた。そのこともあり、中国のメディアも他国のロイヤルウエディングの報道としては異例の熱狂ぶりを見せた。その引き出物の陶磁器の産地とメーカーも明らかになった。景徳鎮ではなく、河北省の唐山市にある陶磁器メーカーであった。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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