グローバルリーダーたちにとって、社会貢献とビジネスを直結させて考えるのが常識になりつつある。リーダーシップと社会貢献をめぐる考察として、ダノンが実現した有名な例を取り上げる。また、それに対する日本の大企業のリーダー、そして若手リーダーの反応に見られた「興味深い差異」とは? 1000人以上の経営者へのインタビューを15年近く続けてきた藤沢久美氏の最新刊『最高のリーダーは何もしない』から、その具体例を見ていこう。
リーダーの「きれいごと」が
イノベーションを生み出した
リーダーシップと社会貢献をめぐる考察として、バングラデシュで「マイクロクレジット(無担保での少額資金貸し出し)」を取り入れたグラミン銀行を創設し、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスさんからお聞きした話をご紹介したいと思います。
ユヌスさんも、ダボス会議にいつも招待されている方のお1人で、世界中のビジネスリーダーに影響を与えています。数年前に来日された際、私と関わりがある経営者のみなさんのために、ユヌスさんとの対話の場をいくつかセットさせていただきました。
そのときに、ユヌスさんが話してくださったのが、世界的な乳製品メーカーであるダノンとのジョイントベンチャーの話でした。
2005年に、ダノングループ会長であるフランク・リブーさんと出会ったユヌスさんは、ダノンと共同でバングラデシュにヨーグルト工場をつくり、ヨーグルトの販売をスタートさせました。この物語は世界中で報道されたほか、ユヌスさんの著書『貧困のない世界を創る』(早川書房)にも詳しく書かれています。