ついに、「真剣に速さを競う」電気自動車レースが始まった。
海の日で祝日だった2010年7月19日、袖ヶ浦レースウエイ(1周2.4km/千葉県袖ヶ浦市)で全日本EV選手権第1戦が開催されたのだ。
「全日本」と銘打つも、参加車はたったの9台。市販車クラスが6台で、2台が全日本GTカー選手権の老舗プライベーター「チームタイサン」のテスラ「ロードスター」。残り4台が三菱「i-MiEV」で、そのうち3台は三菱自動車工業本社の広報車両だ。その他、改造車クラスに、自動車整備の専門学校/千葉自動車総合大学校から「カローラEV」とスバルの軽自動車「ビビオEV」、さらに「チームタイサン」のポルシェ「916EV」が参加した。
これまで、日本で電気自動車レースというと、毎年11月に筑波サーキットで開催される「EVフェスティバル」に代表されるように、「速さ」より自主改造の技術向上を狙うことを基盤に運営されてきた。対して、こちら「全日本EV選手権」は、電気自動車の高速走行パフォーマンスを前面に押し出すものだ。
路面温度67度で性能ダウン
まるでガソリン車の創世記
大会当日の午前10時過ぎ、各車が練習走行を開始するころには、気温34度、路面温度67度に達した。
そうしたなか、各車は大きな壁にブチあたった。
「全開走行だと、2周もたない。バッテリーの警告ランプがつくし、モーターの警告ランプが付いた、それまで200Nmだった最大トルクが、コンピュータ制御がかかって一気に4分の1程度まで落ちて、加速できなくなった」(テスラロードスター、飯田章選手)。
「警告灯はつくし、クルマが重いし、リアの重心は高いし。コーナーの入り口ではアンダーステアが強くて曲がりづらいし、コーナーの出口ではいきなりオーバーステアでリアが大きく流れるし。とにかく大変だ、このクルマを速く走らせるのは」(テスラロードスター、植田正幸選手)。