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錦織圭が戦う「アジア人への偏見」という見えない敵

相沢光一 [スポーツライター]
【第397回】 2016年5月24日
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 全仏オープンが開幕した。

 注目は、もちろん日本人初のグランドスラム(4大大会)制覇に挑む錦織圭である。

 錦織は直前に行われたイタリア国際(グレードが4大大会の次に高いマスターズ1000の大会)の準決勝で王者ノバク・ジョコビッチ(セルビア)と対戦。最終セットのタイブレークまで持ち込んだが、あと一歩のところで惜敗した。獲得ポイントもジョコビッチの112に対し錦織111と、わずか1ポイント差だっただけに惜しい。だが、この接戦でこれまで何度も跳ね返されてきた分厚い壁を突き破る可能性が見えてきたわけだ。

 錦織は昨年の全仏で日本人としては82年ぶりとなるベスト8進出を果たした。実力もフィジカルもアップし、直前で王者を追い詰めた勢いがある今の錦織ならそれ以上、アジア人として初のグランドスラム制覇だって夢ではない。

 ただし全仏はタフな大会だ。世界のトップ選手128人が出場して2週間に渡って行われる。マスターズ1000以下の大会は2セット先取で勝ち上がれるが、全仏(4大大会)は3セットを取らなければならず、優勝するには決して侮れない実力者との対戦を続け、7試合も勝ち抜かなければならないのだ。

 また、今回錦織は第5シードだが、組み合わせを見ると難敵が揃っている。2回戦で当たる可能性が高いのは、今年の全豪で4回戦に進出したクズネツォフ(ランク40位)、3回戦で当たりそうなのは世界ランク7位になったことがあるベルダスコ(スペイン)、4回戦に勝ち上がってきそうなのは第9シードのガスケ(フランス)か、第17シードのキリオス(オーストラリア)、そして準々決勝まで勝ち上がると、イタリア国際でジョコビッチを破って優勝したマレー(イギリス・第2シード)が控えている。こうした強敵を相手に勝ち上がっていくには技術、体力、精神力を総動員しなければならない。厳しい戦いが続くはずだ。

 そして錦織にとっては、もうひとつの見えない敵がある。欧米の白人選手と対戦する時、アジア人の錦織には勝ってほしくないという会場の空気があるのだ。

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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