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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

消費停滞の原因は実質賃金の低下、財政拡大では解決できない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第63回】 2016年5月26日
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 先日公表されたGDP速報において、2016年1~3月期の実質GDPの対前期比成長率は、年率換算で1.7%の増加となった。しかし、対前年同期比では、マイナス成長だ。その原因は、消費の停滞だ。

 以下では、消費停滞の原因は、消費税増税ではなく、実質賃金の下落であることを示す。そして、日本が長期的にマイナス成長に落ち込んだ可能性があることを指摘する。この状態は、財政拡大によって解決できるものではない。

成長率の低下は消費の停滞
設備投資も対前期比で3期ぶりに減少

 今回のGDP速報において重要なのは、次の3点である。

 第1に、この1年間の実質GDPは、ほとんど不変に留まった(図表1参照)。

 実際、2016年1~3月期の値を15年1~3月期と比較すれば、3桁目まで一致する。正確に言えば、0.05%のマイナス成長だ。うるう年の効果を考慮すれば、マイナス幅はもっと大きいと言えるだろう。16年1~3月期の値を14年1~3月期と比較すれば、約1%のマイナス成長だ。

◆図表1:実質GDPの推移

(資料)内閣府

 第2に、実質GDPの停滞をもたらしている原因は、消費の停滞である(図表2参照)。実質家計最終消費支出を見ると、前期からは増加しているが、15年1~3月期と比較すると、0.81%の減少だ。

◆図表2:実質家計最終消費支出の推移

(資料)内閣府

 消費停滞の原因については、次節で検討する。

 今回のGDP統計で重要な第3点は、設備投資が対前期比で3期ぶりの減少となったことだ(図表3参照)。1年前の15年1~3月期と比べても、1.12%の減少になっている。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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