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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

消費停滞は消費税のせいではない
増税再延期では解決しない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第57回】 2016年4月7日
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消費低迷で緊急経済対策や消費増税再延期が取りざたされているが…

 報道によれば、政府は消費の停滞が経済停滞の原因であるとの認識から、緊急経済対策を講じ、消費喚起を図る予定だ。検討されているのは、2015年度の補正予算における給付金の配付や、女性が働きやすい環境を作るための育児対策の充実である。さらに、消費税増税の再延期も検討されている。

 消費停滞が経済停滞の原因であるとの認識は正しい。しかし、以下に述べるように、消費が停滞するのは構造的な要因によるものだ。したがって、政府が検討している政策を行なっても、消費は増加しないだろう。

 消費増加のためには、将来の雇用機会を確実なものとし、社会保障の財源手当てを確実にすることが必要だ。

消費減少の原因は消費税増ではない
実質所得が低下したことである

 消費税増税を再延期するという主張の根拠は、消費税増税が消費を減少させるとの認識だ。

 確かに、消費税を増税した2014年度には、実質成長率はマイナス1.0%に落ち込んだ。

 しかし、そうなった原因は、以下に述べるように、消費税の増税ではない。円安で物価が上昇し、実質所得が低下したことである。また消費税増税前に駆け込み需要で消費が増え、それが元に戻ったことの影響もある。

 消費税増税の再延期を判断するには、これまで消費が減少した原因を究明することが必要だ。

 このため、家計調査によって消費の動向を見よう。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて

アメリカが金融緩和を終了し、日欧は金融緩和を進める。こうした逆方向の金融政策が、いつまで続くのだろうか? それは何をもたらすか? その先にある新しい経済秩序はどのようなものか? 円安がさらに進むと、所得分配の歪みはさらに拡大することにならないか? 他方で、日本の産業構造の改革は遅々として進まない。新しい経済秩序を実現するには、何が必要か?

「野口悠紀雄 新しい経済秩序を求めて」

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