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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国都市部の地価高騰であの大企業が脱出を画策?

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第280回】 2016年6月9日
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 この頃、中国経済が厳しい状況にあるという指摘が多い。実態は確かに厳しい。不動産バブルの状況も指摘されて久しい。中国経済の実態が厳しくなると、すでに深刻な問題になっている不動産バブルはより危険な水域に入り、いつ崩壊してもおかしくないはずだ。

 中国政府もこうした問題を認識し、不動産の在庫を処分するように昨年から呼びかけている。

 そのため、多くの地方都市では、特に居住者が極端に少なく「鬼城(ゴーストタウン)」と化している大型不動産開発現場で、在庫の不動産物件の投げ売り現象が見られている。当然ながら、こうした地方都市の不動産価格は下落を続けている。

近代的なビルが建ち並ぶ深セン。不動産価格は相変わらず高騰している

 しかし、一方で摩訶不思議な現象が起きている。上海、広州、北京、蘇州、武漢、広州、合肥、アモイなどの主要都市では、周辺の土地価格よりはるかに高い価格で土地を入札で確保する企業の行為が相次いで見られたのである。

 地方都市では不動産バブル崩壊の兆しが見られるものの、大都市圏では相変わらず、不動産価格の高騰は続いているというわけだ。

 目玉が飛び出るほどの価格で落札された土地は、中国語では「地王」つまり土地の帝王と呼ばれている。6月1日から3日までの3日間だけで主要都市では12件の地王が誕生している。取引が成立した金額は327億5000万元(約5400億円)だった。

深センから華為技術が出て行く?

 不動産が不合理に高価格な現状は、中国の実体経済の発展を脅かしている。そう認識し、批判的に見ている人は多い。

 また、あまりの地価高騰から、主要都市に事業拠点を構えることが企業経営を圧迫する要因になりかねない事態にもなっている。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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