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日本だけじゃない!中国本土の猛烈な「爆買い・爆食・爆待ち」事情

中島 恵 [フリージャーナリスト]
2016年3月2日
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中国人観光客はどこに集まるの?
マスコミの「爆買い報道」に違和感

中国人の「爆買い」「爆食」「爆待ち」は決して日本国内だけの話ではない。中国本土でも日常的に起きている。写真は中国で鉄道を「爆待ち」する人々Photo:Photoshot/AFLO

 「日本に観光に来る中国人は、いったいどこのラーメン屋に行っているんですか? 教えていただけますか?」

 春節を前にした2月上旬、爆買い事情に詳しい筆者のもとにはマスコミからすごい数の問い合わせメールや電話がかかってきた。爆買い特集を組むため、中国人が殺到している店にロケに行かなければならないということなのだが、彼らが異口同音にあまりにもまったく同じ質問をすることに驚いてしまった。

 筆者は「中国人観光客といってもバラバラ、千差万別なんです。皆が皆、同じ店に殺到しているわけではありませんので……」と説明するのだが、相手はどうも納得しない様子。仕方がないので、有名な店名を2~3店挙げつつ、くどいようだが「もちろん、全員が行っているわけではないんですよ」と付け加える。

 しかし、マスコミの担当者は回答だけ聞くと満足して、すぐに電話を切ってしまう。日本人がトレンドのパンケーキ屋にわ~っと殺到するのと同じ現象を想像し、中国人も1つの店に殺到すると思い込んでおり、そういう“絵”をすぐに撮りに行きたいようだ。

 ラーメンに限らない。「中国人は北海道が大好きだと聞きました。北海道のどこに行っているのですか?」という問い合わせも多い。筆者は「そうですねぇ。やはり札幌が一番多いですが、小樽も函館も知床も……。最近は旭川の旭山動物園にも結構多いですよ」などと答えるのだが、このような回答も日本のマスコミ的には“不合格”である。どこでもいいから1ヵ所、ズバリここだという場所を指定してほしいらしい。「札幌の狸小路に殺到しています!」と断言すれば、非常に喜ぶのだ(確かに狸小路にも多いのだが……)。

 筆者は最初のうち、彼らの求めているものがよくわからなかったので、懇切丁寧に説明していた。「中国人というのは、本当に色々なんです。所得もバラバラだし、出身地も違う。社会階層も違うし、常識や好みや趣味も全然違う。現在来日している人々は中間層以上ではありますが、日本のように中国では“総中流”ということはあり得ないし、中間層の幅も日本よりずっと広い。だから、1つのところに殺到するわけではない。何しろ500万人も来ているのですから、1ヵ所に殺到したら日本が大変なことになるでしょう?」と――。

 だが、筆者の長い説明はたいてい徒労に終わる。筆者もマスコミの一員だが、日本のマスコミ(特にテレビ局)にとっては筆者の説明は回りくどく、「そんな細かいことまで必要ないんだよ」ということなのかもしれない。

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中島 恵[フリージャーナリスト]

なかじま・けい/山梨県生まれ。中国、香港、台湾、韓国など東アジアのビジネス事情、社会事情などを新聞・雑誌などに執筆。著書に『中国人の誤解 日本人の誤解』『中国人エリートは日本人をこう見る』(共に日本経済新聞出版社)などがある。


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