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「政府・日銀はアテにならない」が前提認識に?
投機筋も予言する金融市場の長期低迷リスク

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第141回】 2010年9月7日
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 8月31日、日銀は急遽、臨時の金融政策決定会合を開いて、金融の一段の緩和を決めた。それに対して為替市場は、一時円安方向に進んだものの、その日の海外市場では再び円が上昇する展開になった。今のところ、円高に歯止めはかかっていない。

 一方で政府も、景気対策を取りまとめる意思を示している。具体的には、中小企業対策や、家電エコポイントの期限を延長するなどの方策を打ち出した。それにもかかわらず、株式市場の不安定な展開に歯止めがかからない。

 実際には、一連の政府・日銀の対応に対して、市場関係者の一部から、「両者の対応が遅いため、効果が極めて限定的」という批判が出ている。

 足元で起きている円高・株安の展開は、わが国個別のファクターだけによるものではなく、欧米諸国などを含む世界的な要因による部分が大きい。そのため、「仮にわが国の政策当局が迅速に対応していたとしても、その効果は限定されていたかもしれない」との見方があることも確かだ。

遅すぎる印象を与えた政府・日銀の対策
市場は冷ややかな見方を変えなかった

 問題は、政府・日銀が、足元の円高・株安に歯止めをかけることができないことだ。つまり、わが国の政策当局の力が及ばないところで、経済に重要なインパクトを及ぼす市場の動向が決まっているのである。そのリスクは、計り知れないほど大きい。

 景気回復を海外向け輸出に依存せざるを得ないわが国にとって、急激な円高は、景気に冷水を浴びせることになる。そうした状況を反映して、株価は軟調な展開になっており、それが一般庶民や企業経営者のマインドを冷やしてしまう。

 その結果、社会全体に閉塞感さえ漂い始めている。その悪循環を断ち切らなければ、わが国経済に明るい展望は開けない。ところが政策当局は、現状を打開する具体策を持っていないのだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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