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Q思考 シンプルな問いで本質をつかむ思考法
【第5回】 2016年7月6日
著者・コラム紹介バックナンバー
ウォーレン・バーガー,鈴木立哉

エアビーアンドビー創業者が教える!素人が大きなビジネスをする方法

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ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』)、ティム・ブラウン(IDEO社長兼CEO)、アダム・グラント(『GIVE&TAKE』)絶賛!さらに、NYタイムズ、ブルームバーグ・ビジネスウィーク、パブリッシャーズ・ウィークリー他、全米各紙誌で絶賛された世界的ベストセラー『Q思考――シンプルな問いで本質をつかむ思考法』。 
グーグル、IDEO、ネットフリックス、パタゴニアなど、世界で最も革新的な企業で次々と爆発的な発想を生み続けている「驚愕の思考法」とは?
本連載では、「たった1行の問い」から「非凡な思考」を次々と生んでいく画期的な方法について、書籍『Q思考』から紹介していきます。

ゲビアとチェスキーの驚くべき考え方

 2007年の秋、ジョー・ゲビアとブライアン・チェスキーは、彼らにとって最も重要な、しかし決して美しくはない疑問を抱いていた。「どうやって家賃を支払おうか?それが当時の私たちにとって最優先の課題でした」とゲビアは振り返る。

 当時、ゲビアとルームメートのチェスキーには仕事がなく、お金もそれほど持っていなかった。とはいえ、サンフランシスコではまずまずのアパートを借りており、寝床と生活空間は確保できていた。このアパートは、むしろ地元のビジネス・カンファレンスに参加するために町に来る多くの人にとってのほうがぴったりというべきものだった。市内のホテルはすべて満室で、カンファレンスの出席者はどうしても泊まる場所を見つけなければならなかったからだ。

 二人はこうした状況を(彼らは以前、別の町でのカンファレンスに参加したときに同じ経験をしたことがあった)何か間違っていると思っていた。「どうして一晩か二晩しのげる場所を見つけられないんだ?」。そう考えた末にたどりついたのが、「僕たちのアパートが使えるんじゃないか?」というアイデアだった。

 ゲビアとチェスキーは自動膨張式のエアマットレスを三つ持っていた。カンファレンスの期間中、エアベッドをそれなりの手数料で貸し出しますという簡単な広告を出し、回収したお金をその月の家賃に充てるという手もあっただろう。ところが二人はふとこのアイデアを拡張し、「もしマットレス以外のものも提供したら?」という疑問を手始めに、あらゆる種類の「もし〜だったら?」を検討し始めた。

 提供できるものはそれほど多くなかったが、ちょっとした朝食と観光のヒントをおまけにつけた(ちょっとしたというのはどれくらいかって?「ポップターツ」〔朝食用の甘いお菓子〕だけだった!)。

 そして広告サイト「クレイグスリスト」に広告を出し、さらには「自分たちのウェブサイトをつくったらどうなるだろう?」と考えた(二人にはウェブデザインの知識があった)。

 以上のことを実行し、お互いに知らない三人の個人に三つのマットレスを貸し出した。全員がサンフランシスコでの滞在を満喫したことはいうまでもない。ゲビアによると、それから二人は「これをビジネスにできないだろうか?」「あらゆる主要都市で同じような体験をつくり出せたらどうなるだろう?」と考え始めた。

 こうして二人の夢想家はほとんど無手勝流で当時の常識に風穴を開けた。最初の段階では、チェスキーとゲビア、そして後から誘った三人目のパートナー以外には、これがビジネスとして成立する、つまり支援する価値があると考える人はだれもいなかった。シリコンバレーの著名なエンジェル投資家で、スタートアップ企業の支援会社Yコンビネータを経営するポール・グラハムは、単純にこう考えていた。「だれも見ず知らずの人のベッドに寝たいと思わないだろう」

 最終的に「エアビーアンドビー」に発展していくこのアイデアは、「町の外からやってくる訪問者のための宿泊施設は、実績のある著名なホテルでなければならない」という当時の常識への挑戦だった。

 勘の鋭い人であれば、ほんの数年前まで自動車について多くの人が同じような感覚を持っていたことに気づいただろう。つまり、車を買ったり借りたりすることはできても、共有(シェア)する現実的な方法などないと思われていたのだ。そこにロビン・チェースという企業家が現れ、こういう疑問を抱いた。「なぜ車をシェアしてはいけないのか?」。こうしてカー・シェアリング・サービスの「ジップカー」が誕生した。

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ウォーレン・バーガー(Warren Berger)
デザイン思考、イノベーションといった領域に強みを持つジャーナリスト。ハーバード・ビジネス・レビュー誌、ワイヤード誌、ファストカンパニー誌などに寄稿多数。世界中の何百ものトップイノベーター、起業家、クリエイティブシンカーらに、彼らがどのように疑問を抱き、質問を重ね、独創的なアイデアをつかみ、問題解決しているかを取材。本書は年間ベスト5(IDEO社長兼CEOティム・ブラウン選出)、クリエイティブリーダーへのベストブック、思想的リーダーのためのベスト5(ジェフリー・デイヴィス選出)などに選ばれた他、ニューヨークタイムズ紙他全米各紙誌で絶賛を受け、世界中で刊行。世界の革新的・創造的なビジネスリーダー、企業に大きな影響を与えている。
 

鈴木立哉(すずき・たつや)
一橋大学社会学部卒業。コロンビア大学ビジネススクール修了(MBA)。野村証券勤務などを経て2002年から翻訳業。訳書に『世界でいちばん大切にしたい会社』(翔泳社)、『ブレイクアウトネーションズ』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)など。


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たった1行の問いで、非凡な思考が無数に降りてくる――。

ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』著者)、ティム・ブラウン(IDEO社長兼CEO)、アダム・グラント(『GIVE & TAKE』著者)他、NYタイムズ、ブルームバーグ・ビジネスウィーク、パブリッシャーズ・ウィークリー他、全米各紙誌絶賛!
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