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乳がんを切らずに治す「陽子線治療」に日本で大きな進展

木原洋美 [医療ジャーナリスト]
2016年6月23日
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女性タレントの乳がん闘病中のニュースを聞き、「他人事ではない」と感じた女性は多い。その乳がん治療も最新治療が次々と開発されることによって、徐々に光明が見えてきた。最近、筆者がかつて取材した鹿児島県の医療機関から、世界初となる「切らずに治す乳がん治療の実現」に大きな進展があったという朗報が届いたので、紹介してみたい。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

痛みもキズ痕も生じない
「命の洗濯」までできるがん治療!?

痛みも、キズ痕も生じない。その上、じっくりと「命の洗濯」までできてしまう乳がん治療が、もうじき実現するかもしれない

 痛みも、キズ痕も生じない。その上、じっくりと「命の洗濯」までできてしまう乳がん治療が、もうじき実現するかもしれない――先日、そんな朗報が、『メディポリス国際陽子線治療センター(鹿児島県)』から届いた。

 これがどのような意味を持つ事柄なのか、少し詳しく述べてみたい。

 6月11日、小林麻央さんが乳がんで闘病中であるというニュースを知った女性たちはみんな、「他人事ではない」と感じたのではないだろうか。かくいう私も6月中旬、自治体から絶妙のタイミングで届いた乳がん検診の無料クーポンを、これまでにないほどありがたく思った。

 近年、日本では乳がんと診断される人の数が増えており、一生のうち、女性の12人に1人がかかるとも言われている。一方で、治療法の進歩により、ステージI~II期では5年生存率90%以上、10年生存率もステージⅡであれば80%近くに達している。

 乳がんはもはや不治の病ではなく、年間9万人弱が罹患するものの7万5000人は生還し、化学療法や放射線治療を受けながら生きて抜いて行く時代になった。罹患経験者は「サバイバー」と呼ばれ、病と付き合いながらの人生を送ることから「手術を終えた後は、“糖尿病”や“高血圧”などと同じような“慢性疾患”だと思って」とアドバイスする医師もいるほどだ。

 こうした動向と並行して、治療法もかつての「生命さえ助かれば、それ以上は望まない」的なものから、身体への負担はより小さく(低侵襲)、術後のQOL(生活の質)はより高くを目指す方向に変化している。

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木原洋美 [医療ジャーナリスト]

きはら・ひろみ/宮城県石巻市の漁村で生まれ、岩手県の山村で幼少期を過ごし、宮城県の穀倉地帯で少女時代を送る。明治学院大学在学中にコピーライターとして働き始め、20代後半で独立してフリーランスに。西武セゾングループ、松坂屋、東京電力、全労済、エーザイ等々、ファッション、流通、環境保全から医療まで、幅広い分野のPRに関わる。2000年以降は軸足を医療分野にシフト。「常に問題意識と当事者感覚を大切に取材し、よ~く咀嚼した自分の言葉で伝え、現場と患者の架け橋になる」をモットーに、「ドクターズガイド」(時事通信社)「週刊現代 日本が誇るトップドクターが明かす(シリーズ)」(講談社)「ダイヤモンドQ」(ダイヤモンド社)「JQR Medical」(インテグラル)等で、企画・取材・執筆を深く、楽しく手掛けてきた。2012年、あたらす株式会社設立(代表取締役)。2014年、一般社団法人 森のマルシェ設立(代表理事)。森のマルシェでは、「木を遣うことが森を守ります」の理念を掲げ、国産材の樽で仕込む日本ワインやバルサミコ酢の開発等、国産材の需要を開拓する事業に取り組んでいる。


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