仲間(グループ)の集団購買力を背景に、飲食店や小売店などから大幅な値引き(クーポン)を引き出すという共同購入型クーポンサイトが世界中で雨後のタケノコのごとく増えている。その先駆者で、グルーポンサービスという総称の由来ともなった米グルーポンは今年8月、東京・渋谷にある同業ベンチャーを傘下に収め、日本でのビジネスを開始した。アンドリュー・メイソン創業者兼CEOに日本上陸作戦の勝算と本家本元の強みを聞いた。
(聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)

クーポン利用者と店にとっての
“ベストディール”で市場を創造

――日本でグルーポンサービスを提供するクーポッドを買収し、「Q:pod(by Groupon)」として日本でビジネスを開始しているが、数あるグルーポン企業のなかで、なぜクーポッドを選んだのか。

Andrew Mason(アンドリュー・メイソン)
グルーポンのファウンダー兼CEO
Photo by Masato Kato

  クーポッドの企業文化や組織の若さに魅力を感じた。なによりも、営業やネット運営を担うチームが組織の中核にいたからだ。クーポッドはわずか2ヵ月しかサービスを提供していなかったが、成長性を感じた。

――このビジネスに参入する企業は今後も増えると見られる。すでに海外では過当競争になっているが、生き残るための条件は何か。

 二つあると考えている。一つ目は、ベストディール、つまり顧客にとっておトク感があり、店舗にとって新規顧客の獲得のきっかけとなるクーポンを揃えられていることだ。われわれの場合、創業6ヶ月目から競合企業が現れた。しかし、今では業界2位以下を大きく引き離し、企業規模も数倍違う。われわれのところに“ベストディール”が集まっているからだろう。

 また、サービスを常に進化させることだ。グルーポンでは「パーソナライズドディール」をスタートさせた。利用者の性別や嗜好、購入歴などから、その利用者に最適なクーポンを提供できるようにしており、他社と差別化している。

――しかし、グルーポンビジネスは日本ではまだ未成熟で、二重価格表示などの問題が顕在化している。どのように対処するのか。

 こうした問題はどこの国でもサービスをスタートさせたときに見られるものだ。新しいビジネスだから、サービスを熟知していない会社も多くいるからだろう。問題が発生すれば補填をしっかりやって、利用者に満足してもらうようにする。