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経営者こそ舛添前都知事の辞任劇から学べ

小宮一慶
2016年7月2日
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公私混同すると組織がおかしくなる

 東京都の舛添要一前東京都知事の辞任劇は、経営者にとって反面教師となる教訓を残しました。

 まずお金の使い方の教訓です。前知事は公務で海外出張した時、飛行機はファーストクラスを使い、ホテルはスイートルームに泊まっていました。東京都が公表した経費の詳細によれば、昨年10月のパリ・ロンドン視察時の経費は5041万8605円でした。

小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 その中には現地案内人費用約563万円、通訳雇い上げ費約122万円という、語学堪能という前知事の出張とは思えない不可解なものもありますが、私は基本的には小さな国に匹敵するくらいのGDPを生み出し、大企業並みの人員を雇用する東京都を代表する知事の公務出張なのだからファーストクラスを使うこと、スイートルームに泊まることは、数百万円程度の支出であり、あまり過度でなければ構わないと考えています。

 もちろん先に挙げたような疑義のある支出の真相解明をしてほしいことは言うまでもありません。

 一方、正月の家族旅行で千葉県木更津市のリゾートホテルに宿泊した際の費用は、会議費用という名目により政治資金(税金でまかなう政党助成金が含まれる)で処理されています。こちらは明らかな公私混同です。

 前知事は辞職に追い込まれましたが、会社の経営者が公私混同すると組織がおかしくなってしまう事例を私はたくさん見てきました。経営者の仕事は(1)企業の方向付け、(2)資源の最適配分、(3)人を動かすという3つですが、公私混同は、(2)の資源の最適配分に反することです。

 そうなると、人が動かなくなり、方向付けがある程度正しくとも、パフォーマンスは出ません。社長の私的なお金を稼ぐために、一生懸命働く社員などいません。社長が家族旅行やプライベートのゴルフで使う会社の車のために頑張る社員などいないのです。

 もし、それを平気に思っている社長がいるとすれば、とてもお気楽な人で、その点でも会社をおかしくしているでしょう。だからそんな会社は業績が悪いはずですが、その本当の理由にも気づいていない社長も多いのです。

 公私混同をやめて、良い会社を作り、高収益とし、高い給料を取って、疑義のあるものはすべて自費で賄う。そうするとさらに会社が良くなるので、さらに高い給料が取れるという好循環となるのです。

 前知事は実は折れなくていいファーストクラス出張問題で折れ(集中審議で経費節減のためビジネスクラスを使うと発言)、折れて謝罪すべき家族旅行のほうは「出版社社長と打ち合わせをした」と主張し続けました。

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小宮一慶

京都大学法学部卒業。米国ダートマス大学タック経営大学院留学(MBA)、東京銀行、岡本アソシエイツ、日本福祉サービス (現、セントケア)を経て独立し現職。名古屋大学客員教授(平成26年度後期)。企業規模、業種を超えた「経営の原理原則」を元に、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、年100回以上講演を行う。『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』(ディスカヴァー21)など著書は100冊を超え、現在も経済紙等に連載を抱える。


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経営課題を抱えて日々悩む経営者に向けて、数々の企業経営者に伴走してきた経営コンサルタントの小宮一慶氏が課題解決の「ヒント」を提供。どんな業種にも通じる経営の原理原則をおさえながら、経営者はどうあるべきか、実際の経営現場で何を実行すべきか、を語る。

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