ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside

郵政2万人“首切り”で郵便事業パンクの危機

週刊ダイヤモンド編集部
2010年9月22日
著者・コラム紹介バックナンバー

 「65歳以上はクビって本当ですか」「私の契約は終わりですか」

 今年8月以降、日本中の郵便局で期間雇用社員と呼ばれる、月給や日給制の契約社員や、アルバイト、パート社員が支店や労働組合の担当者を質問攻めにしている。

8月中旬に突如始まった高齢期間雇用社員の“首切り”準備。来春から、全社員の約5%が消えることになるが、“不人気職場”の人員補充に不安が残る

 日本郵政グループは8月に突如、期間雇用社員に「来年4月1日以降、65歳以上の人とは契約更新しません」という内容の説明書を配布、“クビ”を宣言したのだ。該当する社員はパニック状態だ。

 日本郵政グループは約41万人もの職員を擁するが、期間雇用社員が職員の約半分の20万人を占める。しかも、この制度の対象になる65歳以上が2万人もおり、全社員の5%がいなくなる計算だ。

 じつは65歳以上をクビにする規則は3年前に決められていた。2007年の郵政民営化で、それまでの任用(公務員)関係から雇用契約への移行に伴い、日本郵政グループと、郵政グループの最大労組であるJP労組は労働協約を結んだ。その際、期間雇用社員は65歳に達して以降は契約更新しないという決まりが盛り込まれていたのだ。しかも、その実行予定は今年10月1日からとなっていた。

 対象者への説明責任があるはずだが、こうした労働協約が結ばれていたことを末端の現場職員のほとんどが知らなかった。民営化以前は年齢制限自体がなかったこともあり、驚いた高齢社員は「寝耳に水」で労組に殺到した。

 じつは、支店の労組幹部もまた寝耳に水で、混乱に拍車をかけただけ。JP労組は、期間雇用社員の組織率向上を経営目標に掲げていた手前、そんな協約を結んだと積極的にアピールするわけにはいかなかったという事情もある。

 かたや日本郵政グループも8月中旬まで高齢社員の契約更新打ち切りをおくびにも出していなかった。むろん、“クビ”にする高齢社員の後任を補充する準備は今も気配すらない。7月に大遅配騒ぎを起こした、ゆうパックと日本通運のペリカン便の事業統合を終えてから、重い腰を上げるつもりだった模様だ。

 だが、「7月の遅配騒ぎで10月の実施は不可能。年末年始のお歳暮・年賀状でまた遅配が起きれば経営陣は更迭だ。そこで事前周知不足を理由に半年先送りしたのだろう」と労組幹部は推測する。

 いずれにせよ、賽は投げられた。

 だが、65歳以上の高齢期間雇用社員の9割強は郵便事業会社に集中している。郵便は20万人の社員のうち、期間雇用は11万人で、クビになる2万人の9割だと、社員の1割近くが消える計算になる。

 現場の幹部はこう口を揃える。

 「遅配騒ぎで明らかなように郵便事業は合理化し過ぎて慢性的人手不足。しかも、短時間・低賃金労働が不人気で若者を採用できないから、年寄りだらけになった。人員削減をして、後任を補充できなかったら郵便事業はパンクする。ゆうパックの二の舞いになるのは確実だ」

(「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

週刊ダイヤモンド

今週の週刊ダイヤモンド

2017年2月25日号 定価710円(税込)

特集 弁護士・裁判官・検察官 司法エリートの没落

知られざる法曹界の真実

【特集2】
サントリーと創業家
グローバル化への試練

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside

産業界・企業を取り巻くニュースの深層を掘り下げて独自取材。『週刊ダイヤモンド』の機動力を活かした的確でホットな情報が満載。

「inside」

⇒バックナンバー一覧