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“萌え系”同人誌の舞台はコミケから電子書籍へ!
未来の作家が注目する「emes -えむえす-」とは

中島 駆 [フリーライター]
【第100回】 2010年9月24日
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電子同人誌アプリ「emesLibrary」の初期画面。リリース半月あまりで4万ダウンロードを記録した。正式版となる「emesCatalog」は、今秋リリース予定。

 2010年の夏もまた、同人誌即売会「コミックマーケット(通称「夏コミ」)」が東京ビッグサイトにて開催された。

 3日間で延べ50万人以上の来場者が訪れるコミケは、かつてのような一部のオタク層だけが楽しむイベントではない。コミックやアニメ、ゲームなどが日本の誇る優良コンテンツと見なされるようになった現在、誰もが気軽に参加できる場へと変化しているのである。

 それは、数字にも顕著に現れている。昨年(09年)の夏コミでの同人誌販売数は、約944万冊。また、矢野経済研究所による08年の調査発表によれば、その市場規模は553億円に上り、拡大傾向にあるという。

 その要因は色々考えられるが、インターネットの普及が市場拡大を後押ししていることは間違いない。「YouTube」や「ニコニコ動画」「pixiv」といった投稿サイトの登場は、多くのアマチュアクリエイターに発表の場を提供することとなった。

 そしてさらに近年では、電子書籍の登場とその普及が同人誌市場に新たな波をもたらそうとしている。

 その端緒となりそうなのが、このほど登場したiPad/iPhone向け電子書籍アプリ「emesLibrary」である。収録されているのは、漫画や小説、写真集などおよそ150冊の同人誌。ジャンルは、全くのオリジナル作品からゲームやアニメのパロディまで、様々だ。同アプリでは、これらすべてを無料でダウンロードできる。

 ただし、この「emesLibrary」は、あくまでベータテスト版となる。開発元のサークルドットエムエスでは、目下そのさらに先を行く同人誌電子書籍化サービス『emes -えむえす-』を準備中だ。

 同サービスの特徴は、作家の代わりに電子書籍の作成および、アップル社の「iTunesStore」への登録・課金を申請してくれる点である。つまり同人誌作家が、自作を電子書籍として手軽に販売することができるのだ。

 販売価格は作家自身が設定可能で、アップル社とサークルドットエムエスへの手数料を差し引いた分が収益となる(11年7月末までは、作家50%、サークルドットエムエス20%、アップル30%という比率の予定)。

 正式サービス版のアプリとなる「emesCatalog」は、10年10月にアップルに申請予定とのことで、作品は同アプリに収録されるかたちでの配信となる。

 同社が運営する同人総合ポータルサイト「Circle.ms」では、現在、約4万5000のサークルが活動している。これらのサークルから「11年末までに年間で1万タイトルの電子同人誌の申し込みを受けることが目標」(同社代表取締役社長・佐藤一毅氏)だという。

 現在プロとして活躍する著名漫画家のなかには、同人誌出身の作家も数多い。電子同人誌を足がかりにして、世界の舞台へと一気に躍り出る作家の登場を期待したいところだ。

(中島 駆)


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