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中国の海外投資はバングラ事件で「テロのリスク」に震え上がった

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第211回】 2016年7月15日
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バングラデシュのシェイク・ハシナ首相と中国の習近平国家主席。両国の結びつきは近年、深まっている
Photo:代表撮影/REUTERS/AFLO

 7月1日にバングラデシュの首都ダッカの飲食店を襲撃したテロは、中国をも震撼させた。バングラデシュは、中国がアジアと欧州をつなごうとして推し進める「一帯一路」構想の重要な戦略拠点でもあるからだ。

 奇しくも1週間前の6月25日、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は年次総会を開き、第1号案件としてバングラデシュに単独融資を決めた。テロ事件はその矢先だったのである。

 その第1号案件で白羽の矢が立ったバングラデシュでは、深刻な電力不足を解消するための送電線整備が行われることになった。

 第1号案件がなぜバングラデシュだったのかをめぐっては、さまざまな憶測を呼んだ。

 中国とバングラデシュは1975年に国交を樹立し、経済交流はすでに2000年代から緊密化している。2003年には中国が最大の投資国になり、2006年には隣国インドを超え、中国がバングラデシュにとっての最大の輸入国となった。

 近年はバングラデシュ、中国、インド、ミャンマー間で道路、鉄道などを敷設し互いに経済的連携を強めようという「BCIM経済回廊構想」が動き始めた。また2013年以降は「21世紀海上のシルクロード」の重要な拠点として、バングラデシュをクローズアップするようになった。

バングラデシュに深く食い込む中国

 ベンガル湾に面し、それと交わるアンダマン海の先にマラッカ海峡を望むというバングラデシュは、中国にとって地理的に「エネルギー輸送の要衝」でもある。マラッカ海峡が米国により封鎖されることを恐れ、中国は「真珠の首飾り」と呼ばれる海上交通路戦略、今でいう「21世紀海上のシルクロード」の布石を着々と打っているのだ。

 その一方で、バングラデシュに対しては米国や日本も影響力を強めようとしている。「アジア太平洋地域へのリバランス政策」を進展させようと、2012年にはヒラリー・クリントン前国務長官が同国を訪問した。日本もまた安倍政権が2014年9月に6000億円のODA支援でその存在感を誇示した。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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