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田中均の「世界を見る眼」

岐路に立つ中国と日本はどう付き合っていくべきか

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第56回】 2016年6月15日
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中国経済の行方は
日本や世界に大きな影響

 中国はどこへ向かっているのか。経済減速の世界への影響は大きく、国内では引き続く反腐敗闘争の一方、国民への強権的措置も目立つ。対外的には南シナ海での一方的行動を進め、東シナ海では今月に入り尖閣諸島接続水域に軍艦を派遣するなど地域の緊張を激化させる動きが加速している。このところ、国際社会の中国を見る目も厳しくなっている。

安倍首相と握手を交わす習近平国家主席。一見、日中関係は改善しているように見えるが…(2014年11月の日中首脳会談) Photo:代表撮影/ロイター/アフロ

 日中関係についても、日中首脳会談や日中韓首脳会談が実現したことで一見、関係は改善されているように見えるが、日中間に信頼に基づく友好関係が確立されているとは到底思えない。

 中国の今後の方向性は、高い経済成長率を維持できるか、果たして政治改革が進んでいくのか、そして国内の延長であるかもしれないが、対外政策がどう展開されていくのかで判断されるのだろう。そして、これらの展開次第で、日中関係の行方も大きく変わっていく。

 いまや世界経済の牽引車とみなされる中国経済の行方が注目されている。日本国内では中国経済崩壊論が声高に叫ばれるが、中国の経済が停滞していけば、日本への直接的影響は大きい。

 中国は日本にとって米国と並ぶ最大の貿易相手国であり、対外直接投資残高も2014年には1000億ドルを超え、日本の台湾・香港・韓国・シンガポール4ヵ国・地域(アジアNIES)への投資の合計残高やタイ・マレーシア・インドネシア・フィリピンのASEAN主要4ヵ国への合計残高に匹敵する。ここ数年、中国人観光客による「爆買い」も日本の消費市場に大きく貢献してきた。

 中国の経済の停滞は日本への影響だけではなく、タイやマレーシア等中国と極めて大きな経済依存関係を有するASEAN諸国を直撃し、東アジア地域、ひいては世界経済全体に与える影響が甚大である。先月のG7伊勢志摩サミットで世界経済のリスクとして新興国経済、なかんずく世界第二の規模を有し大きな成長を続ける中国経済の退潮が議論されたのは記憶に新しい。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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