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本川裕の社会実情データ・エッセイ

営業マンが減る一方で「営業・販売事務職」は増えている謎

本川 裕 [統計データ分析家]
【第5回】 2016年7月20日
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各年代の躍進職業は時代潮流の反映

 2015年に行われた国勢調査の各調査事項に関する速報が6月末に発表された。これは全世帯の約100分の1を抽出して集計し、多少の標本誤差はあるものの、今年の10月から来年末にかけて順次公表される全数集計等の結果のあらましを早く知るため、毎回の国勢調査で行われている速報である。

 新聞等では65歳以上人口が26.7%と初めて4人に1人を超えた点など報じられたが、総務省統計局が発表した概要やそれに基づく報道内容はほとんど想定内の事実が多く、驚きはない。だが、速報集計の公開データそのものに当たると、気がつきにくいいろいろな時代変化を読み取ることができる。例えば、上昇を続けてきていた未婚率が、男性30代前半・後半、女性30代前半では低下に転じた点などはもっと注目されてよいのではなかろうか。

 私は新しい国勢調査の結果が発表されるたびに職業別就業者数の動向にまず興味が向かう習慣になっている。というのも就業者の増加率の高い職業が時代潮流とその変化をあらわしているからである。この点について今回は紹介しよう。

 就業者の分類としては、産業別と職業別とが対になっている。産業別は調査対象者が働いている事業所がいずれの産業に属しているかという分類であり、職業別は、働いている者自身が行っている職種の分類である。自動車工場の医務室に勤務する看護師は、産業は自動車産業、職業は看護師となる。

 従来から産業別就業者数の動向、すなわち、農業の割合がどの程度まで少なくなったか、製造業のうちの成長業種は何か、2次産業から3次産業へと雇用の中心がシフトしたのはいつかといった点が注目されてきた。

 しかし、産業発展が一段落し社会が成熟すると産業別より職業別の動きの方に重要性がシフトしてくると考えられる。産業側の要請でどんな職業が必要かを決めるのではなく、就きたい職業でどんな産業を振興すべきかを決めるようになってくるからである。例えば、地方都市が産業振興のため成長産業の工場や営業所を誘致しても、誘致した企業が研究開発職など魅力のある職を提供できないと高学歴化した地元の若者の大都市圏への流出は止まらないということになる。

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本川 裕 [統計データ分析家]

統計データ分析家。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科兼任講師。1951年生まれ。東京大学農学部農業経済学科卒業。同大学院単位取得済修了。(財)国民経済研究協会研究部長、常務理事を歴任。現在、アルファ社会科学(株)主席研究員。インターネット上で「社会実情データ図録」サイトを主宰。

 


本川裕の社会実情データ・エッセイ

本連載では、統計データの動きを独自に整理、グラフ化することによって、意外な社会の動きやわが国の状況を追って行きたいと考えている。もっとも堅苦しいものではなく、趣味的な個人の嗜好も含めたざっくばらんなものとしたい。体系的な思想というよりエッセイ形式で人間習俗(モラル)を観察したモラリストの伝統に連なれればと考え、連載タイトルにエッセイという用語を含めた。

 

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