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検察審査会の小沢一郎氏“強制起訴”議決の意味

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第150回】 2010年10月6日
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「重い」のはむしろ検察批判だ

 検察審査会は、小沢一郎氏の政治資金を巡る事案で「起訴議決」を公表した。この議決を受けて、小沢氏は強制的に起訴されることになる。

 発表時期に少々意外な点はあったが、第一回目の議決と同じ結論であり、こうした内容の議決が出ることには大きな違和感はない。本件は大いに疑わしいので、法廷ではっきり白黒をつけるべきだ、という市民の感覚に沿ったものだ。

 小沢氏自身、あるいはその周辺から、かつて検察審査会に対して、法律の「素人」が起訴・不起訴を決めることに違和感があるとの発言があったと報じられているが、これは不適当だ。そもそも、検察審査会の趣旨は、一般市民、即ち素人が、その常識と論理に照らして、玄人を自称する検察の判断をチェックすることにある。

 検察が決して無謬でも万能でもないことは、厚労省の村木厚子元局長が無罪になった郵便不正事件を見るだけで明らかだろう。

 「議決の要旨」を読むと、検察審査会が証拠を判断した論理が述べられているほかに、たとえば、再捜査について「検察官は再捜査において、被疑者、A、B、Cを再度取り調べているが、いずれも形式的な取り調べの域を出ておらず、本件を解明するために、十分な再捜査が行われたとは言い難い」と述べている。これは、内容的に検察の捜査が怠慢で納得しがたいとの批判であり、重く受け止める必要があるのではないだろうか。

検察無謬神話を卒業せよ

 本議決は村木氏の事案の影響を受けたものではないが、村木氏の件では検察の強引な捜査の不当性が問われ、本件では捜査と判断の消極性が問われている。

 推測するに、検察も、当初は本件を起訴して有罪に持ち込みたかっただろうが、起訴しても有罪を勝ち取れない場合のダメージの大きさを懸念して、不起訴を決めたのだろう。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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