サムスン電子とアップルの特許侵害訴訟に進展が見られたと思われた矢先、今度は中国のファーウェイがサムスン電子を特許侵害で訴えるという事態が。韓国政府は海外進出企業の知的財産権保護に乗り出したが、「なぜ、国がそこまで?」という策を講じざるを得ない独自の事情について紹介してみたい。

アップルだけで収まらない
サムスン電子の訴訟合戦

20461876特許訴訟の結果、万一デザインの使用が差し止められると、スマホの究極的な形は……? PIXTA_20461876

 2011年4月から5年も続いているサムスン電子とアップルの特許侵害訴訟が、今年の秋口から来年早々にかけて、一つのヤマ場を迎える。

 アメリカ、韓国ではもちろん、欧州各国や日本でも両社の特許侵害をめぐる訴訟合戦が続いているわけだが、韓国メディアによると、今年10月11日にアメリカでサムスン電子側の上告審が開かれることになったという。判決は2017年1月に言い渡される見込みだ。

 アップルは、サムスン電子が2011年発売した「GalaxyS」と「Galaxy Tab」のデザインが、「iPhone」と「iPad」の丸い角やアイコンの配置構成といった特許を侵害したとして訴訟を起こし、その結果、アップル側が勝訴。2015年12月に、サムスン電子はアップルに5億4800万ドルの損害賠償金を支払った。このうち、デザイン特許の賠償額は3億9900万ドルである。

 サムスン電子が上告したのはこの損害賠償額の算定方式に関する内容で、韓国では、支払った損害賠償金を取り戻せるかどうかに注目が集まっている。

 合衆国最高裁判所は、年間7000件余りの上告を受け付け、その99%を棄却するという。よって、サムスン電子の上告が受け入られただけで「この上告審は、サムスン電子に有利」と報道する韓国メディアまで出るほどだ。

 ところがそんな矢先のこと。サムスン電子は、またも新たな特許訴訟を抱えることになってしまった。

 今度は、中国のファーウェイ(華為技術、HUAWEI)が、サムスン電子が同社の特許を侵害したとして訴訟を起こしたのだ。