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税金亡命
【第10回】 2016年8月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
佐藤弘幸

税務職員の呆れたモラル。
「申告は四分の一でいいから、半分俺にくれ」

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・パナマ文書、タックスヘイブンとは何か?
・富裕層はどんな税金対策をしているか?
・世界ではどのような脱税行為が行われているか?

国税最強部門、「資料調査課」(税務署では調査できない困難案件、例えば大口、悪質、海外、宗教事案などを扱う部署)出身であり、タックスヘイブンの実情を描いた最新刊、『税金亡命』の著者でもある佐藤氏が、本連載で実情を語る。

日本の税務職員は、
世界的にも優秀?

 前回の記事では、タックスヘイブン狩りの実情を説明するため租税条約の話をした。さて、租税条約があれば、二重課税にしても脱税防止にしても、問題の一件落着!なのかと思いたくなるが、そんなに甘くはないと思う。制度があっても執行が出来なければ、絵に描いた餅であり意味がない。

(1)条約相手国の調査能力
 日本は各種インフラが整っているし、税務職員の能力も高い(少なくてもアジアの中では)と言ってもいいと思う。ところが、開発途上国などはインフラが乏しいだけでなく、税務執行がお世辞にもいいとは言えない。

 国・地域によっては、税務調査は納税者への臨場ではなく、呼び出し方式で書類のやり取りだけで終了することがある。条約に基づいて情報交換制度の活用しようとしても、果たしてまともな情報収取ができるのか、まともに機能するのか疑問である。

(2)国・地域の事情
 国・地域によっては、ある情報を開示してしまうと、自国の産業に悪影響が出る場合がある。特に金融立国がそうである。「金が自国から逃げる」のを承知で、重要な情報を相手国に安々と提供してしまうのか?疑問である。

 また、公務員のモラルにも触れておかなくてはならない。日本から情報提供依頼を受けた国の税務職員が、日本に情報提供しない見返りに賄賂を受け取ったらどうなるか?

 アジアでビジネスをしたことがある人なら容易に想像できると思うが、そういった国・地域はまだまだ存在する。

 ミャンマーでの話。日系企業の法人税申告をするために税務署に行った。窓口横のテーブルで申告書を提出する際に、税務署員と面白い話になった。

 税務署員「これは真実の申告か?」
 納税者「はい(過少申告を疑っているのか?)」
 税務署員「こんなに儲かるはずがない」
 納税者「いや、事実ですから(何かおかしいな)」
 税務署員「本当ならば、申告は四分の一でいいから、半分俺にくれ」
 納税者「えーっ!(そんなアホな)」

 これは本当の話である。開発途上国ではミャンマーに限らず、税務署員の能力や質に問題が少なくない。

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佐藤弘幸(サトウヒロユキ)

1967年生まれ。東京国税局課税第一部課税総括課、 電子商取引専門調査チーム(現在の統括国税実査官)、統括国税実査官(情報担当)、 課税第二部資料調査第二課、同部第三課に勤務。 主として大口、悪質、困難、海外、宗教、電子商取引事案の税務調査を担当。 退官までの4年間は、大型不正事案の企画・立案に従事した。 2011年、東京国税局主査で退官。現在、税理士。


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