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競泳日本代表はいかに「チーム力」を個人競技に生かしたか

小川みどり [アスリート・キャリアアドバイザー]
2016年8月8日
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銅メダルを獲得した瀬戸大也選手(左)と金メダルを獲得した萩野公介選手  Photo:Insidefoto/Aflo

競泳男子400メートル個人メドレー決勝で、萩野公介選手が金メダル、瀬戸大也選手が銅メダルを獲得。さらに他の有力選手たちも続々と決勝進出を決めるなど、メダル量産体制に入っている。一体なぜ、競泳日本代表はこれほど強いのか――。

オリンピックでの頂点を目指す日本の競技団体は今、大きく変化し始めている。ただ人が集まっただけの“グループ”活動から、高い目標に向かって相互作用を高めあう“チーム”活動を積極的に行う組織へと大きく進化しているのだ。団体競技だけではなく個人競技でも、チームワークを高めることで、多くの好連鎖が生まれている。4年前のロンドンオリンピックでは、競泳が戦後最多の11個のメダルを獲得した勝因として、「チーム力」が大きくクローズアップされた。

個人競技におけるチームワークとは、具体的に何なのか。リオデジャネイロオリンピックでの活躍に向けて、スポーツの現場で行われている「チームビルディング」について、紹介したい。

ライバルだけど、仲間。みんなで強くなる!

 日本代表の選手個々が、「チームジャパン」という意識を強く持つようになり、競技を越えて連携を深めていったのは、2008年1月に、東京都北区西が丘に、味の素ナショナルトレーニングセンター(以下、味の素トレセン)が開設されたことが大きな契機となっている。日本のトップ選手の「国際競技力の総合的な向上を図るトレーニング施設」として、隣接する国立スポーツ科学センター(JISS)とともに、多くの競技に高度で有効な練習、合宿の場を提供し、そこに集ったトップ選手たちは、互いの存在を意識しながら、日々、世界を見据えたハイレベルな練習を行っているのである。

 味の素トレセンができたことで屋内競技のすべての合宿が一拠点内で可能になり、それまではアジア大会やオリンピックでしか会うことのなかった異競技の選手たち同士は、顔を合わせる機会が一気に増えた。特にアスリートヴィレッジと呼ばれる宿泊施設は、名前の通り、オリンピック選手村さながらの様相を呈し、例えばレスリングの吉田沙保里選手と卓球の福原愛選手が大食堂や大浴場などで、談笑している風景も日常となっている。

 オリンピックという世界最高の舞台で、日本中の期待を一身に背負って戦う選手たちは、明るいスポットを浴びる一方で、重圧と孤独に一人ひとりが必死に耐えている。それはオリンピック選手の宿命でもあるのだが、少しでも選手が、のびのびと思い切り競技できるようにと、「団体競技だけでなく、個人競技も一人ではない、みんなで戦おう!」と、そんな気運を意識的に醸成していこうという動きが、昨今は多く見られるようになってきている。

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小川みどり [アスリート・キャリアアドバイザー]

1985年に株式会社リクルートに入社、有森裕子選手ら、マラソンランナーと出会う。1992年のバルセロナ五輪で、現地観戦デビュー。退社後、フリーライター・書籍編集者を経て、2008年より公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)で、今年の3月末に退職するまで、のべ883人のトップアスリートのキャリアカウンセリングおよび、のべ約400講座の教育研修を担当。個人として、五輪観戦は夏季6回。冬季2回。リオ五輪は9回目の現地観戦。海外には、51回、様々な競技の国際大会を訪れている。

 


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