実感なき景気回復の2002~07年、
リーマンショック後の不況に喘いだ08、09年

「『景気が良い』って言われてるけど、何だか実感湧かないよね」

 それこそが、戦後最大の“いざなぎ景気”を超えたと言われた2002年~07年の好景気における多くの国民の本音でした。わずか3年前の話なので覚えている方は多いだろうと思います。

 社会ではお金が回っているようだけど、自分の財布には入ってこない。こうした状況は、「格差社会」という言葉でも表現され、問題視されはじめることとなりました。

 それと同時に「消費の二極化」というキーワードが出てきたのもこの時期です。「良いものは高くても売れる」あるいは「安くなければ売れない」といった現象で、多様化する消費者の価値観が顕在化しました。「BMWに乗って、100円ショップで買い物をする」という状況も、実際に起こっていることであり、変化する価値観に対応できる企業こそが勝ち残れる企業だといわれました。

 その後、米国のサブプライムローン問題から不況へと突入し、08年9月のリーマンショックを境に企業の業績は大きく悪化。09年には、かつては2兆円の営業利益を上げたトヨタ自動車でさえ赤字転落するという事態に陥りました。そして、日本で長期政権を守り続けてきた自民党から民主党への政権交代が実現し、現在では景気回復が大きなテーマだという認識をほとんどの国民がもっているわけです。

 さて、今年もわずか2ヵ月足らずとなってきましたが、この2010年はいったいどんな年だったと言えるのでしょうか。

家電量販店、外食チェーン…
今年目立った“絶好調”企業の強み

 電機メーカー系列の販売店網の業績が絶好調だと聞き、実際に調べてみたところ、空前の猛暑による影響で、10年上期の国内エアコン出荷台数は515万台(15.8%増)、出荷金額4234億円(21.3%増)と過去最高を記録していました。