週刊ダイヤモンド 誰もが老後に不安を抱えている。「年金がいくらもらえるかわからない」「どれだけ資金を用意しておけばいいのか」といった、「わからない不安」である。

 「大した贅沢をしているわけでもないのに、お金が貯まらない・・・・・・」。

 これもまた、多くのサラリーマン家庭が抱える悩みだ。

 こうした不安や悩みに答えるのが、本特集である。無理なく穏やかな老後を迎えるための実践情報、ノウハウを網羅した。

 お金が貯まらないのは、ダイエットがうまくいかないのと根っこは同じだ。「欲や感情と動かされて、つい目先のことに目がくらみ、将来のことに目をつぶってしまう」から失敗する。

 節約・貯蓄をしなければいかないと、わかってはいる。だが、実行するには「苦」を伴う。それを後回しにして「楽」のほうに走る。そして後悔するわけだ。

 これは、特別な傾向ではない。多くの人によく見られる人間心理のクセだ。行動経済学で「双曲割引」と呼ばれているものである。

 「Part1 解消!あなたのお金の悩み」では、小幡績・慶應義塾大学ビジネススクール准教授、深田晶恵・生活設計塾クルー取締役、山崎元氏の3氏が、こうした悩みの根っこにあるものを行動経済学で解き明かしている。

 「Part2 年金・老後不安の実際」では、「わからない不安」の代表格である公的年金、それに子供の教育費など大きな支出の目安を示した。

 公的年金が崩壊して、年金がゼロになるようなことはない。だが、老後の収入が年金頼みでは危ない。実質の年金額は今より減ることは大前提だ。「本当にアテにしていい年金額」を試算したので、参考としてほしい。

 「Part3 家計リストラ大作戦」では、メタボ家計を減量させるための実践編である。

 多くの家計で逼迫の元凶となっているのは住宅ローン。まだ住宅ローン見直しをしていない人は、最重要課題に位置づける。また、家計診断の専門家が口を揃えるのは「保険の見直しが手っ取り早い」という点。保険を筆頭にゼロベースでリストラに取り組んで欲しい。

 「Part4 無理なくお金を殖やす」では、賢く貯蓄・投資をするための実践情報を網羅した。

 コツコツと積み立てるのが、お金を貯める王道だ。そして余裕が出てきたら投資資金に回す。

 老後の必要資金の大きさを考えると、期待リターンの高い投資のほうにばかり目がいくかもしれないが、高リターンは高リスクと表裏だ。損しても大丈夫な範囲内で無理なく投資することである。

 若い世代も、間もなく老後を迎える世代も、穏やかな老後生活を送るために、ぜひ参考としていただきたい。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 小栗正嗣)