2012年7月、菅直人元総理が退陣の3条件の1つに掲げていた再生可能エネルギー特措法案が成立。太陽光を中心に、各種の自然エネルギーへの注目や新規導入が加速した。新たに企業や自治体が参入することで、住宅用に比して規模の大きいメガソーラーなどの発電施設・システムも増えている。13年度以降の見通しや最新の技術、製品、サービスなどを追った。

 1月21日、茂木敏充経済産業大臣は日本記者クラブでの講演で、2013年度の太陽光発電の買い取り価格に関して、次のような発言をしている。

「(12年度は1キロワット時当たり42円だった価格から)30円台後半に引き下げることが可能だ」

 発言の背景には、太陽光発電システムの普及に伴い、システム全体の価格が低下しているという事実がある。これまでより初期費用が安く済む分、財源も厳しいのだから買い取り価格は下げさせてもらうというわけだ。

技術の進歩で買い取り
価格の低下をカバー

 13年度以降の再生可能エネルギーの買い取り価格は未定だが、仮に買い取り価格が低下すれば、再生可能エネルギーの普及そのものに水を差しかねない。

「成長分野」と目される再生可能エネルギーの普及を緩めないためにも、一層の技術革新や発電システムの進化に期待が寄せられる。ここ数年でも、新たな技術が次々と開発されてきた。

 たとえば、太陽光パネルでは、発電した電気を送る電極を表面のセルと呼ばれる部分に通すことが一般的だったが、電極をパネルの背面に持っていくことでセルの発電面積を増やす「バックコンタクト」という技術が開発された。また、太陽光発電では夏場などにセル表面が高温になるほど発電効率が落ちるのが一般的だが、セルを水で冷却することで発電効率の低下を防ぐ技術も実用化されている。

 さらに、複数の再生可能エネルギーを組み合わせた発電システムの研究や実験、実用化が進んでいる。

 たとえば、太陽の熱を利用する太陽熱温水器と太陽光発電を融合させたハイブリッド型のソーラーシステム、また空気の熱を活用してお湯を沸かすヒートポンプに太陽熱温水器をミックスさせるようなシステムが実用化を見ている。

 より大がかりなケースもある。企業や九州大学等の研究機関が実施を進める浮体式の洋上風力発電では、洋上の浮体上に風車を設置することで騒音問題を緩和すると同時に、浮体の空きスペースには太陽光発電のモジュールも搭載。さらに、浮体の海面下の部分は漁礁として活用することで、水産資源の保護にも資する「一石三鳥」の発電システムの実用化、普及に向けた活動が続いている。