2013年3月11日、厚生労働省・社会・援護局関係主管課長会議が開催された。生活保護を中心とした援護政策について、次年度の厚生労働省方針が、全国の自治体から集まった担当部署の課長たちに示される場だ。

その場では、いったいどのような方針が示されたのだろうか? また、2012年4月から今年1月まで12回にわたり開かれた「生活保護基準部会」・「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」などでの議論(政策ウォッチ編・第12回参照)は、どのように反映されようとしているのだろうか?

完全に上意下達の場である
「社会・援護局関係主管課長会議」

生活保護は誰のための制度へと変わるのか?<br />厚労省・課長会議で明らかになった新たな運用方針2013年3月13日に開催された「厚生労働省 社会・援護局関係主管課長会議」。会場は、霞ヶ関・厚生労働省から徒歩5分程度の会議場

 2013年3月11日、霞ヶ関の大規模会議場で、厚生労働省「社会・援護局関係主管課長会議(以下、課長会議)」が開催された。会議の趣旨は、

「来年度の社会福祉行政及び援護行政が適切かつ円滑に実施されるよう、都道府県・指定都市・中核市の担当課長等に対して、各施策の具体的な実施方針・内容や関係予算(案)に関して説明を行う」

 である。

 約200名ほどの参加者は、主に各都道府県・指定都市・中核市の担当課長の立場にある人々であった。この日は、東日本大震災の発災から満2年となる日でもあった。14時46分には、会議を中断しての黙祷も行われた。

 冒頭、開会挨拶に立った社会・援護局長の村木厚子氏は、最初に、震災被災と復興について「もう2年であり、まだ2年」と述べ、被災自治体への全国の応援に感謝の意を表明した。また、阪神淡路大震災の5年後、被災地の自治体職員に、

「他の地域の方から、『まだ復興やっているんですか』と言われることが一番つらい」

 と言われたエピソードを紹介し、豪雪被害など、震災以外の災害に際しても支援体制の重要性を強調した。

 ついで村木氏は、生活保護と生活困窮者の問題について述べた。生活保護受給者数は経済状況にリンクしているのだが、リーマン・ショック以後の深刻な不況からは回復しつつあるという。さらに、生活保護制度が最後のセーフティ・ネットとして機能していることについて、現場の自治体職員に感謝を表明した。また、制度を守って運用することの重要性と、生活保護受給者が経済的自立を遂げ、少し良い生活を営めるようになることの重要性を強調した。