政府の経済財政諮問会議は28日、とんでもない「矢」を放ってしまった。甘利明経済財政・再生相は安倍政権の経済政策「アベノミクス」の第3の矢である成長戦略に続き財政健全化を「第4の矢」と位置づけた。
第3の矢である成長戦略は甘利経済財政相の分野だが、「あまり」海外の評判はよろしくない。海外では成長戦略となると、デレギュレーション(規制緩和)、プライバタイゼーション(民営化)、フリートレード(自由貿易)という英語にもある概念がでてくる。
ところが、経産省の「ターゲット・ポリシー」は産業選別という意味で、なかなか海外には通用しにくい。特定の産業の選別は依怙贔屓(えこひいき)になるし、そもそも政府に成長産業を選び出す能力がないからだ。英語で説明する時には、わざわざ「ジャパニーズ」と形容詞付きで揶揄されている。
財務省のいう財政健全化は増税
そこで出てきたのが。第4の矢――財政健全化だ。この裏にはもちろん財務省がいる。財政制度等審議会が近々まとめる報告書の原案について各メディアが報じている。いわゆるリークである。
財政健全化には、その達成手法を大別すると①経済成長、②歳出カット、③増税となるが、財務省のいう財政健全化は、はっきりいえば増税である。
まず財務官僚には予算査定で無謬性があるので、歳出に無駄があるとはまず認めない。このため、②歳出カットはできないというのが基本的立場だ。となると、①経済成長か、③増税になるが、以下の理由により③増税になる。
①経済成長では、増収になるのはわかっているが、その分要求官庁からの歳出圧力が強くなり、それに対抗できない。対抗するためには②歳出カットをやらざるを得ないが、力不足なのだ。