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高橋洋一の俗論を撃つ!

長期金利上昇懸念の「から騒ぎ」

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第67回】 2013年5月16日
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 最近の長期金利(10年国債の利回り)上昇について懸念する声が出ている。さらには、黒田緩和は円安、株高には成功したが、長期金利上昇を招き景気に悪影響が出かねない、財政にも支障が出かねない、ひいては財政破綻まであるのでは、という論調まで一部には出ているようだ。

長期金利上昇に伴う3つの懸念

 まず事実を整理しておこう。過去10年間の大きな流れを見ると、小泉時代の量的緩和はそれなりに景気の上向きに貢献したので、2006年3月の量的緩和解除まで、景気の上昇とともに、長期金利も上昇し、0.5%程度から2%程度へと上昇している。その後、金融引き締めで景気も後退し、それとともに長期金利も低下し0.5%程度になっている。

 最近1年間を見ると、長期金利は0.8%程度であったが、今年初めころからアベノミクスで日銀が大量に買い入れたことによって債券価格が上昇(長期金利が低下)したが、4月の黒田緩和で打ち止め感が出て、15日、0.9%台までに上昇した。長期金利の動向については、日本相互証券のデータを参照。

 長期金利は、長い目で見れば、かなり名目GDP成長率と似たような数字になることが知られている。同時に今後の短期金利の将来にわたる平均値になるので、将来の動向にも左右される。さらに、市場の需給関係にも短期的な動きが左右される。現在の長期金利は史上最低水準なので、将来の景気好転などの見通しや需給関係により、いつなんどき反発しても不思議でなかった。

 なお、長期金利は変動するもので、日本の過去1年間を見ると0.4%から0.9%程度までと変動幅は0.5%ポイントであるが、アメリカでは10年国債の利回りは1.3%から2.1%程度までと変動幅は0.8%ポイントである。日本が転換期であることを考えれば、変動幅がとくに大きいというわけでない。

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高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


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