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安東泰志の真・金融立国論

成長戦略に必要な「5本の矢」とは

安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]
【第32回】 2013年4月19日
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なぜ成長戦略が重要か

 黒田日銀総裁の放った1本目の矢、「大胆な金融政策」は上々の評判を得てスタートし、今年度は2本目の矢、「機動的な財政政策」の効果も出てくるだろう。

 しかし、既に多くの識者が指摘している通り、日銀だけで「良い物価上昇」を実現することは難しく、一過性の効果しかない財政政策だけで、毎年の巨大な需給ギャップを埋め合わせることは不可能である。前回指摘したように、単なる輸入インフレや資産バブルではなく、良い物価上昇を実現するためには、供給サイドの調整を含めた民間企業の活性化が不可欠であり、遠からず発表される安倍政権の3本目の矢である成長戦略が注目されるところだ。

 ところで、成長戦略というと、どうも各論に走りがちである。たとえば、医薬品のネット販売解禁、発送電分離、iPS細胞実用化の支援、インフラ輸出の促進などは、どれを取っても重要なものばかりだが、こうした各論をバラバラと論ずる前に、民間企業主導の成長戦略の大きな柱は何なのかをしっかり考えておく必要がある。

「成長戦略の5本の矢」

 成長戦略の柱として、誰もが認めるのは、規制緩和であろう。事業への参入を容易にし、競争を促進する中で民間企業が活性化するためには、規制緩和は不可欠な要素である。しかし、筆者は、さらに4本の柱をこれに加えていくべきだと考えている。安倍政権の「3本の矢」に倣って、ここでは「成長戦略の5本の矢」と呼ぶことにしよう。

 筆者は常に企業金融の観点から、成長戦略を考えている立場であるから、前提になるのは、「日本の企業が世界の投資家から信認されることによってこそ、日本企業に成長資金と成長機会が与えられる」という考え方であり、その観点から5本の矢を図示したのが図1である。

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安東泰志 [ニューホライズン キャピタル 取締役会長兼社長]

東京大学経済学部卒業、シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。1981年に三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行、1988年より、東京三菱銀行ロンドン支店にて、非日系企業ファイナンス担当ヘッド。90年代に英国ならびに欧州大陸の多数の私的整理・企業再生案件について、参加各行を代表するコーディネーターとして手がけ、英国中央銀行による「ロンドンアプローチ・ワーキンググループ」に邦銀唯一のメンバーとして招聘される。帰国後、企画部・投資銀行企画部等を経て、2002年フェニックス・キャピタル(現・ニューホライズンキャピタル)を創業し、代表取締役CEOに就任。創業以来、主として国内機関投資家の出資による8本の企業再生ファンド(総額約2500億円)を組成、市田・近商ストア・東急建設・世紀東急工業・三菱自動車工業・ゴールドパック・ティアック・ソキア・日立ハウステック・まぐまぐなど、約90社の再生と成長を手掛ける。事業再生実務家協会理事。著書に『V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生』(幻冬舎メディアコンサルティング 2014年)。
 


安東泰志の真・金融立国論

相次ぐ破綻企業への公的資金の投入、金融緩和や為替介入を巡る日銀・財務省の迷走、そして中身の薄い新金融立国論・・・。銀行や年金などに滞留するお金が“リスクマネー”として企業に行き渡らないという日本の問題の根幹から目をそむけた、現状維持路線はもはや破綻をきたしている。日本の成長のために必要な“真”の金融立国論を、第一線で活躍する投資ファンドの代表者が具体的な事例をもとに語る。

「安東泰志の真・金融立国論」

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