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検証!「アベノミクス」

日本の財政は持続可能か
3%成長でも20年度で財政赤字は50兆円
――日本総合研究所主任研究員 河村小百合

【第4回】 2013年5月8日
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安倍政権は、中長期的な財政再建策の具体化には、未着手の状態にある。日本総研の試算では、名目3%という高成長でも、2020年度で財政赤字は50兆円にも達する。「景気へのマイナス影響」を言い訳に、この深刻な問題から「逃げた」財政政策運営で済ませることは、もはや許されない。

 安倍晋三政権は、「デフレ脱却」、「景気押し上げ」を最優先の政策課題に位置付け、「拡張策を先行させる財政政策」、「非伝統的手段による金融緩和の強化」を組み合わせた政策運営に乗り出した。これが、民間部門の前向きの動きを呼び起こし、長年続いてきた縮小均衡を打破しつつあることは高く評価されよう。

 しかし、中長期的にみれば、わが国経済が抱える最大の問題は、デフレの長期化と並び、財政事情が諸外国対比で突出して悪いことである。そうしたなか、安倍政権は、「一時的」との説明付きながら、財政拡張策を実施に移した一方で、中長期的な財政再建策の具体化には、未着手の状態にある。

 他方、日銀との共同文書を発表し、2%の物価目標が掲げられ、黒田新総裁以下の日銀は、国債の大量買入れを開始した。金融市場は目下のところ、こうした政策運営に対して、総じて好意的な反応をみせている。ただし今後、この物価目標が達成に近づくとすれば、市場金利も相応に上昇すると見込むのが自然であろう。

 わが国の部門別資金過不足(=「貯蓄」-「投資」の差額)状況をみれば、近年の最大の資金不足部門は政府である。市場金利上昇の影響を最も強く受けることになるのは、わが国の場合、主要な経済部門のなかで、突出した多額の借金をしている政府にほかならない。では、わが国の今後の財政運営には、どのようなリスクが待ち構えているのか。

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検証!「アベノミクス」

安倍政権の経済政策である「アベノミクス」は上々の滑り出しを見せている。だが、それは「期待」を転換させた段階に過ぎず、政策体系としては発展途上であり、まだまだ未完成だ。そこで本連載では、日本総研を代表する3人のエコノミストである山田久、西沢和彦、河村小百合がそれぞれ成長戦略、社会保障、財政再建について、「建設的批判」の観点からアベノミクスを検証し、あるべき方向について提言を行っていく。 

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