民主党への気持ちは怒りと無視の中間
東京都議選惨敗に見る最大野党の消滅
6月23日に行われた東京都議会議員選挙の結果は衝撃的だった。前回、2009年の都議選で229万票を獲得した民主党の今回の得票数は、69万票に落ち込んだ。公明党が63万票、共産党が61万票だ。多数の候補者を擁立し、多くの現職議員がいてこの結果は厳しい。
都議選の結果を見る限り、有権者の支持において、民主党は、すでに与党・自民党に対する最大野党の地位を失っていると言っていいのではないか。
もともと、民主党は、選挙互助会のような緩い結束の政党で、地方よりは都市部での支持が多く、いわゆる「風」(そのときのムード)を頼みとする選挙を戦う政党だった。そして今回、その「風」は全くの逆風であった。
民主党に対する有権者の心理に関する包括的な調査を見たことがないので、以下は推測なのだが、かつて民主党に投票して、前回の総選挙、今回の都議選、そして次回の参院選で、民主党には投票しない有権者の気持ちは、「怒り」と「無視」の中間ぐらいの場所にあると思う。
「脱官僚」を掲げ、日本の仕組みを「改革」することを期待させて政権に就いたにもわらず、すっかり官僚に取り込まれて、ついにはもともとやらないと言っていた消費税率の引き上げに突っ走った「嘘」と「裏切り」を、許せないという感情が上記のような有権者にはあるに違いない。
この感情が、怒りとなって、民主党を「処罰してやりたい」と思う人もいるだろうし、他方では、民主党を政権に就けた総選挙で同党に投票した自分の不明と失敗を「忘れてしまいたい」と思う人もいるだろう。
残念ながら、前回総選挙の敗北に対して、民主党は「嘘を詫びる」総括をしなかった。これでは、有権者は民主党を許すきっかけを掴めないし、「嘘つき」なのだから、民主党には何も頼めないと思い続けるしかない。