ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
岸博幸のクリエイティブ国富論

海外と比較して分かる“成長戦略”の志の低さ

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]
【第232回】 2013年6月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 14日に安倍政権の“成長戦略”が閣議決定されます。株価の動きを見ても分かるように、最大の問題点は“成長戦略”に改革的な政策が少なく、将来の成長の道筋をイメージできないという点に集約されます。一言で言えば、今回の“成長戦略”は志が低く野心的ではないのです。それを象徴するのが、移民政策ではないでしょうか。

成長戦略での「高度外国人材対策」

 たくさんの海外の優秀な人材が日本に定住して仕事をするようになることは、人口減少、高度人材の不足、起業の少なさなど日本経済が直面する様々な問題の解決のために必要なはずです。

 しかし、海外からの移民への拒否感が強い国民性を慮って参院選への悪影響を考慮したのか、“成長戦略”では、高度な技能を持つ外国人の受け入れについては、「高度な技術や経営ノウハウを持つ海外からの人材の日本での活躍を促進するための総合的な環境整備推進の一環として、高度外国人材ポイント制度を見直す」という短い一文しかありません。

 この制度は、高度な技能を持つ外国人を3分野(学術研究活動、高度専門・技術活動、経営・管理活動)に分け、学歴、職歴、年収、研究実績といった項目ごとにポイントを付与して評価し、70点以上の外国人には在留期間の長期化などの優遇措置を付与するものです。つまり、政府のスタンスは「日本で働きたい外国人で優秀なヤツは少し優遇してやるぜ」という非常に上から目線なものになっています。

 かつ、“成長戦略”ではこの優遇措置の見直しをするだけですので、政府として戦略的に、日本で働く高度な技能を持った外国人を増やしていこうとも考えていないことが分かります。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

岸 博幸 [慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授]

1986年通商産業省(現経済産業省)入省。1992年コロンビア大学ビジネススクールでMBAを取得後、通産省に復職。内閣官房IT担当室などを経て竹中平蔵大臣の秘書官に就任。不良債権処理、郵政民営化、通信・放送改革など構造改革の立案・実行に関わる。2004年から慶応大学助教授を兼任。2006年、経産省退職。2007年から現職。現在はエイベックス・マーケティング株式会社取締役、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社顧問も務める。

 


岸博幸のクリエイティブ国富論

メディアや文化などソフトパワーを総称する「クリエイティブ産業」なる新概念が注目を集めている。その正しい捉え方と実践法を経済政策の論客が説く。

「岸博幸のクリエイティブ国富論」

⇒バックナンバー一覧