ネット依存症、大人は900万人?

 2013年8月1日に、厚生労働省研究班が出した調査結果は、世間に大きな波紋を呼び起こしました。「インターネット依存症の中高生が全国で約52万人(*1)」との推定を示したからです。比率では、男子の6.4%、女子の9.9%が「ネット依存症の可能性」とされました。

 その判定方法は単純なもの(*2)で、以下の8問に「はい」「いいえ」で答えるもの。まずはみなさんもやってみてください。

「はい」は、いくつありましたか? 5問以上「はい」なら、あなたも「ネット依存症」です。 「そんなことはない!」と思いますか? 「そうだなあ」と感じますか?

 中高生には「睡眠時間」や「最近1ヵ月間の午前中の体調」も聞いています。すると「ネット依存症」とされた子どもたちの43%が「睡眠時間6時間未満」で、体調が「常に悪かった」「しばしば悪かった」との回答も24%に上りました。いずれも、そうでない子どもたちと比べて、1.6~2.7倍の高率でした。

 みなさんはどうですか? 睡眠時間はとれていますか。午前中の体調は維持できていますか?

 おそらくこの基準でいくなら、大人の相当数が「ネット依存症」と判定されるでしょう。それが仮に中高生と同じ程度で10%程度だとしても、母数が巨大なので、実数は52万人どころではありません。900万人近く(*3)に達するでしょう。

 大人のほうがよほど、問題です。しかも、子どもの頃からの耐性がない分、罹ると重症です。

 

*1 厚生労働省の推計は51.8万人。それを産経ニュースが「約51万人」との見出しで報じたために、ネットには「51万人」の数字が踊った。本文を読めば約52万人であることはわかったはずだが…。
*2 アメリカのKimberly Young博士によって開発された「インターネット依存度テスト」を一部改変したもの。久里浜医療センターのHP上で簡単に自己診断できる。ちなみに私は40点。

*3 厚生労働省による2008年の推計では、成人のうち271万人が「インターネット依存傾向にある」とされた。