第2回では、自治体におけるオープンデータの取り組みとして千葉市の事例をご紹介しました。政府は、公共データの利活用について更に議論を重ね、安倍政権が掲げる「世界最先端IT国家創造宣言」において、新たなサービス・産業を創出し社会全体に還元することを目指しています。

特に最近注目されているのが、各自治体が保有する地理空間情報、防災・減災情報に加え、政府が保有する各種統計データの利活用です。そしてそれらを企業、社会などが保有する多種多様な情報群、いわゆる「ビッグデータ」を相互に結びつけ新たなイノベーションを創出する事です。

国民の財産や生命を大規模災害から守る取り組みに生かすため、産業界・学校・官公庁が連携して取り組んでおり、また震災におけるビッグデータの分析や活用などもよく耳にします。第3回では、オープンガバメント(開かれた政府)という観点において、政府機関内での公共データ活用における課題について米国の事例を交え紹介したいと思います。

「9・11テロ」以降、異なる政府機関での情報共有が課題に

 オープンガバメント先進国である米国では、オバマ政権が誕生する以前から異なる政府機関の間でデータを交換し情報を共有する動きがありました。しかし、それらの活用にあたり元々各機関によってバラバラに保持されていたデータには、語彙や用語の意味、表現などの記述方法やデータのファイル形式が統一されていないという問題がありました。

 また、国家機密に関する情報や個人情報も大量に含まれているため、データの取扱い方法、統一基準、またアクセス権限の範囲を決めることなどルールも必要でした。

 異なる政府機関での情報共有の重要性を認識したきっかけは2001年9月11日、世界に衝撃を与えたアメリカ同時多発テロでした。当時私もアメリカ西部に在住しており、あのときの混乱は今でも鮮明に覚えています。テロ発生直後は情報が錯綜し、行政サービスの一部は閉鎖され、物流、交通網は数日間寸断されるなど市民生活に大きな不安と影響をもたらしました。

 テロ発生時、米国の各情報機関は危険を察知するさまざまな情報を入手していたと言われています。そしてお互いに情報を提供し合ったのですが、相手に伝わっていなかったり、緊急性の認識などに温度差があったりしたことなどから、結果的にテロを未然に防ぐことは出来ませんでした。また、発生後の対応の遅れも指摘されました。

 これを受けて米国議会は、その原因を「国内の安全情報に関する情報機関が多数に分立しており、さらに、情報が有効に活用できなかった」ことであると結論付け、「情報を共有できれば、テロ防止になる」との考えから2002年11月、国土安全保障省(Department of Homeland Security、略称:DHS)を設立することを決定したのです。