日本経済研究センターは、この2月に「グローバル長期予測と日本の3つの未来」と題する「2050年への構想」最終報告書を公刊した。このレポートには「経済一流国堅持の条件」という副題が付けられている。ところで、この3つの未来とは何か、そのシナリオをチェックしてみよう。

世界3位の所得も実現可能(成長シナリオ)
しかし、基準は停滞シナリオ

 日経センターの長期予測は1人あたり国民総所得(Gross National Income、 GNI)を指標としているが、まず次の表を見てほしい。

◆豊かになる国は(1人あたり国民総所得、GNI)

出所:公益社団法人日本経済研究センター グローバル長期予測と日本の3つの未来/長期経済予測(2013~2050年)「2050年への構想」最終報告」(2014年2月19日発表)、以下同様

 2050年の1人あたりGNIを見ると、成長シナリオではわが国は世界3位(2010年は16位だった)の豊かな社会を実現することが期待されている。しかし停滞シナリオ(これが基準シナリオとされている)では18位、破綻シナリオでは23位となり、破綻シナリオの場合は実額でも2010年を下回る結果となっている。この3つのシナリオの差は、次の図を見るとさらによくわかる。