本日のコラムは、編集部からいただいたお題「成長戦略・規制緩和は経済成長に寄与するか」にしよう。

成長会計とは

 そこで、まず成長会計を紹介しよう。その上で、成長戦略・規制緩和の内容を明らかにして、成長戦略・規制緩和の位置づけをみてみよう。はじめの部分はオタクっぽい分析であるが、鬱陶しい人は飛ばしていただいても構わないが、こうした分析部分をきっちり理解しない人は、騙されやすいということを指摘しておこう。

 成長会計とは、実質GDP成長率を、その内訳に注目して成長の要因を明らかにしようとするものだ。生産に当たっての生産要素として資本と労働、それら以外の残差要素を技術(全要素生産性)と考え、コブ=ダグラス型の生産関数を仮定すると、実質GDP成長率は、次のようになる。

実質GDP成長率=資本分配率*資本伸び率+(1-資本分配率)*労働伸び率+技術進歩率

 これで、経済成長を資本、労働、技術進歩に要因分解できることとなる。

 この成長会計を使って、ここ30年程度の経済成長が何にもたらされたのかを分析してみよう。

 実際のデータを当てはめて、理論を応用するときに、注意点が必要だ。資本では、資本投入量なので、資本ストック(内閣府「資本ストック統計」)に稼働率(経産省「鉱工業指数」)を加味しておく。労働は、労働力人口(総務省「労働力調査」)に失業率(総務省「労働力調査」)と労働時間(厚労省「毎月勤労統計」)を加味して算出する。すると、上の成長会計は、

実質GDP成長率
=資本分配率*(資本ストック伸び率+稼働率変動)
+(1-資本分配率)*(労働力人口伸び率+就業変動+労働時間変動)
+技術進歩率
=資本分配率*(資本ストック伸び率+稼働率変動)+(1-資本分配率)*就業変動
+(1-資本分配率)*労働力人口伸び率
+(1-資本分配率)労働時間変動
+技術進歩率

となる。