相変わらず
新築重視の税制改正

オウチーノ代表取締役社長 兼 CEO
井端純一

いばた・じゅんいち/同志社大学文学部新聞学(現メディア学)専攻卒。リクルートを経て、『週刊CHINTAI』『ZAGAT SURVEY』取締役編集長などを歴任。2003年、オウチーノを設立。著書に『広報・PR・パブリシティ』(電通)、『30年後に絶対後悔しない中古マンションの選び方』『10年後に絶対後悔しない中古一戸建ての選び方』(河出書房新社)など。

 国土交通省が発表した来年度の税制改正要望を見て、怒りを禁じえない。

 国は口では「中古の時代」などと言いながら、要望のトップは「新築取得時の固定資産税減額措置の延長」である。相変わらず新築重視の姿勢、従来の政策の延長で、率直に言って真剣さが全く感じられない。

 中古住宅の流通促進に向けては、買取再販物件の所有権移転登記軽減の特例措置延長があるが、0.3%から0.1%に引き下げという軽微なもの。

 その一方で、2017年4月から10%に引き上げられる消費税について、「住宅を軽減税率の対象に」という議論は少しも聞こえてこない。以前はこの要望をはっきりと打ち出していた住宅業界も、今は長いものに巻かれろとばかりに、だんまりだ。