高齢になると、高血圧症などによる持病を抱えていたり、筋力の衰えによってケガをしやすくなったりする。
内科で糖尿病の投薬を受けながら、整形外科で膝や腰の治療をするなど、日常的に複数の病院や診療所を受診するだけではなく、症状が悪化して入院する機会も多くなる。その一方で、おもな収入は公的年金だけという高齢世帯もあり、現役世代に比べると相対的に所得は低い。
そのため、これまでは健康保険の自己負担分も70歳を境に軽減されるように設計されてきた。
高額療養費の自己負担限度額は
70歳になると引き下げられている
現在、70歳未満の人の医療費の自己負担割合は一律に3割だが、70歳以上になると年齢や所得に応じて1~3割の3段階になる。
以前は、70歳以上の人の自己負担割合は原則的に1割だったが、2014年4月に制度改正が行われ、70~74歳の人が2割、75歳になって後期高齢者医療制度に移行すると1割に引き下げられることになった。ただし、70歳以上でも現役並みの所得のある人は3割となっている。
医療費の自己負担分が家計の大きな負担にならないように配慮した高額療養費も、70歳以上になると限度額が次のように引き下げられる。